国際オリンピック委員会(IOC)は、東京五輪・パラリンピックに参加する各国、地域の選手団に向け、米製薬会社大手ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンを提供することになったが、かえって逆風を呼ぶ事態となっている。

 今回のワクチン提供はIOCやファイザー社の発表によると、世界に配給しているものとは「別枠」で用意されるもので、日本オリンピック委員会の山下泰裕会長(63)も「日本のワクチン接種に支障のない形」と強調。しかし新型コロナウイルス禍で東京五輪開催へ反対意見が増大している状況では、今回のワクチン提供が五輪選手団への優先措置と言われるのも無理はない。

 ネット上を中心に早くも集中砲火を浴びる状況になっている。「選手のためにワクチンを確保するなら世界的に不足している国に回すべき」との意見をはじめ「別枠って何? そこまでして五輪やる意味とは?」。「もし別枠ワクチンがあるのなら、まだ接種していない医療関係者に回してもらえないものか」などと批判のオンパレード。安心・安全の開催への理解を得られるどころか、国民感情を逆なでしてしまった。

 もはや何をやっても開催の理解を得られるのは難しくなってきた。やはり中止に向かうのが賢明なのだろうか。