たったコレだけか…。新型コロナウイルス禍で来年夏に延期となった東京五輪を巡り、大会組織委員会は国際オリンピック委員会(IOC)の理事会(7日)で簡素化による削減額が約300億円に上ったと報告した。

 今回の簡素化について組織委は「削減効果」「削減達成」という表現を使ってアピール。簡素化は52項目に及び、主な削減内容は大会関係者約5万人の10~15%削減、会場運営スペースの縮小、照明設備の節減、聖火リレーの車の隊列の一部削減、人件費の抑制などだ。森喜朗会長(83)は「よく300も削った。みんな大変な努力をした」、武藤敏郎事務総長(77)も「新しい視点を持って見直した。我々としては成果が上がった」と揃って高評価したが、いやいや…というツッコミも実際に聞こえてくる。

 なぜなら大会延期に伴う追加コストは数千億円とも言われ、肝心のコロナ対策の費用はこれから本格的に試算される。また、今回の削減額は開催費用の総額1兆3500億円のたった2%という点も見逃せない。

 さらに森会長は「本当に五輪って、こんなにカネをかけていいのか?と正直私は思っていた」、武藤事務総長は「我々はどうやったら安上がりになるか検討してきた」と、ここにきて後出しジャンケン的な発言が目立つ。だが52項目に及ぶ今回の簡素化の中には、やろうと思えば当初から実現可能なものばかり。特にIOCファミリーへの過剰なサービス、飲食代の見直しなどはコロナや延期とは無関係。森会長は「毎晩パーティーばかり」と今になって言うが、最初から本気でメスを入れられたはずだ。

 ネット上には「中止にすれば無駄な税金使わなくていい」「結局、自分たちの利益のためだけ」などと冷めた声が並ぶ。組織委は「簡素化は来年の大会まで不断の努力をする」としたが、現状の“削減効果”では到底、国民の不安は拭えない。