“お台場水質問題”1年延期は追い風!?

2020年04月12日 11時00分

【どうなる?東京五輪パラリンピック(15)】1年延期は“追い風”となるか。東京五輪でトライアスロン、マラソンスイミングが行われるお台場海浜公園の水質が問題となっている。大量の砂を投入するなど対策を講じるが、専門家の意見は――。

「トイレのような臭いがする」。昨年8月に行われたマラソンスイミングのテスト大会で実際に競技を行った選手による発言だ。また、同時期に開かれたトライアスロンのテスト大会では大腸菌が基準値を大幅に上回るなど会場の“汚点”が次々と明るみに出た。

 この事態に東京都港湾局は、伊豆諸島の神津島から運び込んだ約2万2000立方メートルの砂を投入し、水生生物の住環境を整備。担当者は「アサリなどの水生生物は汚れた水を改善してくれるので、その効果に期待している。今回の砂投入はアスリートなど現場の意見を受けて協議した結果、決めたこと」と話した。

 今年開催に合わせた対策事業だが、来年7月開幕となって水質はどう変化するのか。水質問題に詳しい東京工科大学の浦瀬太郎教授(52)は投入した砂について「波静かな東京湾ではその場所に残ると考えられる。ここに細かい泥が堆積し、数センチまで厚くなると真っ黒のヘドロ状になり悪臭がする泥になるが、1年に数ミリのため現時点での投入は数年の効果があるのでは」と指摘する。

 さらに「アサリは有機性の汚濁物質を分解し、透明度を上昇させる効果がある。また、アマモなどの植物は水底付近の粒子状汚濁物質の沈降を促し、浅い海域での透明度の上昇効果も」と一定程度の改善を予想した。

 一方、組織委は大腸菌抑制のために水中スクリーンを設置したが、浦瀬氏は「完全にシャットアウトできるものではない」と話し「砂投入(覆砂)は水生生物の成育環境を整える効果や臭気の抑制効果は見込めるが、大腸菌群などの衛生に関わる水質改善への効果は限定的」と課題も挙げた。

 懸命な水質改善作業が続いているが、最後は会場の“自然治癒”に頼るしかなさそうだ。