死してなお、影響力は絶大だ。人気歌手、タレントの故やしきたかじんさん(享年64)が生前抱いていた“夢”が、橋下徹大阪市長(44)と平松邦夫前大阪市長(65)の仲を取り持つ可能性が出てきた。3日に死去してから13日で10日になるが、いまだ、たかじんさんの話題は絶えない。大阪を愛し、大阪に愛された男の死が大阪を一つにまとめようとしている…。

 2011年の大阪市長選で戦った橋下氏と平松氏は今では犬猿の仲として有名。元毎日放送アナウンサーの平松氏とタレント弁護士だった橋下氏は、かつては良好な関係にあったと言われる。だが、この選挙戦で壮絶な舌戦を繰り広げ、関係修復は不可能な状態に。以来2年あまり。そんな2人が亡きたかじんさんの遺志を継いで、奇跡の復縁を成し遂げるかもしれない。

 関西財界の大物は「2人なら、たかじんさんの夢をかなえられる」と期待を膨らませた。

「たかじんさんは『大阪に、まともなコンサートホールを造る』ことを悲願としていた。中之島にフェスティバル・ホールができたけど常に予約が詰まっている状態で、まだまだ目標は達成できていない」

 たかじんさんの夢を聞かされていた橋下氏も同様の考えを持っていて、昨年2月に「需要があるなら造るべき」とコンサートホールの誘致に動いていた。

 しかし、橋下氏が率いる大阪維新の会以外はこの構想に後ろ向き。「また無駄な箱物になる」と検討の余地なしとしていた。これに対し、財界や芸能界などには、たかじんさんの夢を知る人は多く、コンサートホール建設の機運が高まることは確実といわれる。

 ここで登場するのが平松氏だ。平松氏も長らく放送業界で活躍しただけあって、たかじんさんとじっこんの間柄。市長になった後も、自宅に招かれては、大阪の行く末を熱く論じ合っていたという。

 その平松氏が市の文化事業に精通していることもあって、橋下氏のフォローに動いてくれるかもという期待感が出ているのだ。平松氏もたかじんさんの番組に出演した際に、「大阪って言ったらコレっていうような象徴的なホールがあってもいい」と発言しており、たかじんさんのためなら嫌いな橋下氏に力を貸すこともありえる。

 市政関係者は「反橋下派の旗手だった平松さんは今でも影響力を持っている。その平松さんの頼みなら、憎き橋下さんへの協力も断れない人も多い」と語る。

 そもそもこの2人は市長選前まではいがみ合っていなかった。

「一時は『政界のくにお・とおる』と呼ばれ、名コンビと言われた。たかじんさんが間を取り持ち、手と手を取り合って協力していた時代もある。だから、もう一度それを思い出して、なんとしてもたかじんさんの夢を実現させてほしい」(前出財界大物)

 たかじんさんは生前、関西の“地盤沈下”を懸念し「もっと大阪には力がある。大阪を文化の拠点にせなアカン」と将来に思いをはせていた。橋下氏と平松氏がタッグを組めば大阪に新たな「たかじんホール」が完成するはず。死してなお、影響力は衰え知らずのたかじんさんの願いをかなえるために、犬猿の仲の2人は手を組むか。