「Good medicine is bitter to the mouth(良薬は口に苦し)」
と言われるが、漢方薬による治療を40年以上続けている小生は、この諺に賛成しかねる。「色白、小太りの肥満には防已黄耆湯」「ずんぐりむっくり固太りで太鼓腹、高血圧傾向の肥満には防風通聖散」が効くのは漢方に詳しい医師には常識だ。しかし、診察してもどちらとも判断ができない場合、両方の薬をなめてもらうと「旨い(とまでいかなくても苦味、嫌味がない)」方の漢方薬が必ず効くし、苦味や嫌味のある方の漢方薬は効かない。
「冷え症、生理不順、不妊症、肩こり、頭痛…」などに効く「当帰芍薬散」(体力のない女性用)や「桂枝茯苓丸」(体力中程度の女性用)についても同様だ。
この60年以上「塩分は体に悪いので減塩を」という指導がなされてきた。
しかし、古代ローマ時代は「塩(Sal)こそ、最も健康によい」と信じられていたので、「健康・乾杯」のことを“Salus”というし、ローマの兵士の給料の一部が塩で支払われていたので“Salary”(給料)という言葉ができた。海水と血液中の塩分バランスが酷似しているのを鑑みると、当たり前であるが…。
最近は「糖」(炭水化物)も健康によくない、とし、糖質制限食や低炭水化物ダイエットが提唱されている。動・植物など全く存在しなかった約45億年前当時の地球上に数億年後「二酸化炭素(CO2)」と「水(H2O)」に光が作用して作られた最初の有機物(栄養素)が「ブドウ糖(C6H12O6)」であるからこそ、我々動物にとって最重要栄養素が「糖」なのであるし、食べると旨いのだ。
西洋医学や栄養学は「塩」「糖」を敵視するが、生きるか死ぬかの重患者が救急車で搬送されてきた時なされる点滴は「生理食塩水」か「ブドウ糖」である。この点を鑑みると「塩」や「糖」が体に悪いと考えるのは奇妙キテレツである。
◆石原結實(いしはら・ゆうみ)1948年、長崎市生まれ。医学博士。イシハラクリニック院長として漢方薬と自然療法によるユニークな治療法を実践するかたわら、静岡・伊豆でニンジンジュース断食施設の運営を行う。著書は300冊超でベストセラー多数。最新作は生島ヒロシ氏との共著「70代現役!『食べ方』に秘密あり」(青春出版社)。












