新型コロナウイルスが“ダブルシンジ”を直撃か。欧州でも特にウイルス感染が急拡大しているスペインでは、サッカー界にも不安が広がっており、同国1部の名門バルセロナは選手給与の削減を検討する事態に陥っている。他クラブも資金難で経営危機が懸念されるが、中でも2部のサラゴサに所属する元日本代表MF香川真司(31)とウエスカの同FW岡崎慎司(33)の処遇に深刻な影響を及ぼしそうだ。

 バルセロナは理事会を開いて新型コロナウイルス感染拡大による経営悪化への対応策を話し合ったが、会議は4時間以上に及んで紛糾。その場では公式戦開催で見込んでいた入場料、広告料、放映権料などの収入に大きなマイナスが出ることが判明した。

 この緊急事態にバルセロナは「クラブの上層部が状況を分析し、金銭的損失を最小限にとどめるために様々な対応策を検討している」と声明を発表。危機的状況のため、スペイン紙「スポルト」は「選手たちの給与を払うための流動資産が足りなくなるという。選手の給与削減は可能なのか」と指摘し、他にも複数の地元メディアが同じ趣旨の記事を掲載した。

 世界屈指のビッグクラブが財政難に直面しているわけだが、Jクラブ関係者が「どこの国だって同じでしょう。(経営難クラブは)これからも出てくるよ」と語ったように、他クラブも資金繰りが不安視されている。同1部マジョルカのMF久保建英(18)やエイバルのMF乾貴士(31)ら日本人への影響が心配されるが、特に香川や岡崎が活動する下部リーグは深刻だ。

 スペイン2部クラブの平均予算は年間1500万ユーロ(約17億7000万円)とされる中、昨夏に香川が加入したサラゴサは年間400万ユーロ(約4億7000万円)で2部の中でも最低クラス。予算規模が小さいため、リーグ戦中断で受ける影響は大きく、給与削減どころか2年契約の来季の去就も不透明だ。

 岡崎が加入した2部ウエスカも“台所事情”はかなり厳しい。ホームスタジアムの収容人数は7638人と1万人にも満たない小規模クラブとあって、公式戦の延期はクラブ経営に深刻なダメージを与えかねない。岡崎は1年の契約延長のオプションがあるものの、財政難から契約打ち切りの可能性もある。

 2部から再スタートした“2人のシンジ”だが、新型コロナ禍の影響で思い描いた将来に大きな影を落としそうだ。