【取材の裏側 現場ノート】日本中の注目を集めた立ち技メガイベント「THE MATCH」(19日、東京ドーム)は那須川天心と武尊の頂上決戦をメインカードにキックボクシングのドリームマッチが勢ぞろい。驚異的なPPVの売り上げに加え、東京ドームに5万6399人の観衆を動員した。掛け値なしの超満員の光景は壮観だった。
これに真っ向から対抗心を燃やしたのが新日本プロレスのオカダ・カズチカ(34)だった。20日の後楽園大会で「THE MATCH」に関する質問を受けると「やっぱり悔しいですよ、先に行かれたというのはね」と偽らざる本音をのぞかせた。その上で「俺らもやりますよ、来年の東京ドームは、超満員。5万人入れられないわけじゃないですし。入れて、プロレスの力というのを見せたいと思うので」と発奮した。
オカダはかねて「東京ドーム超満員」という目標にこだわり続けてきた。プロレスに限らずイベントの観客動員発表は時代によって基準が変化しており、過去大会との正確な比較が困難だ。とはいえ新日本プロレスにおいては1998年4月4日のアントニオ猪木引退興行(主催者発表7万人)をピークに、2000年代以降は苦戦する時代が続いていたイメージが圧倒的に強い。
観衆が実数発表となった近年で最も「超満員」に近づいたのは2020年大会だ。史上初の2日間連続開催となった初日の1月4日に4万8人、翌5日に3万63人と合計で7万人以上を動員した。当時IWGPヘビー級王座を保持していたオカダは、試合とプロモーション双方を鬼気迫る勢いでこなしていた。数か月にわたってテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でPR。年末年始も無休で動き続け、やれることは全てやり尽くしたかにも見えた。それでも目標には届かず、充実感と悔しさが混ざった表情を浮かべていたのが印象的だった。
20年以降は新型コロナウイルス感染拡大の影響などもあり集客に苦戦している新日本は今年、旗揚げ50周年の節目を迎えた。オカダはそんななかで何度となく団体創始者の猪木氏に来場してもらいたいという希望を口にしているが、5月に記者が取材した際にはこんなことを言っていた。「そのためには僕が会場を超満員にしないといけないと思います。お客さんが入ってない状態じゃ違うと思いますし。正直、今のままじゃ招待できないですよね。『猪木さん、来てください』と言っても『入ってねえじゃねえか、バカヤロー』って言われておしまいじゃないですか。だからこそ今できることをしっかりやっていって、また超満員の会場になった時に来てほしいです」
オカダがここまで「超満員」にこだわりあえて口に出しているのは、カネの雨を降らせることを使命とする「レインメーカー」としての矜持と、より多くの人にプロレスの魅力を知ってもらいたいという強い願いがあるからだ。12年に凱旋帰国し、一気にトップ選手に登り詰めてから10年が経つ。プロレスというジャンルを背負い、世間と戦い続け、18年には「レインメーカーに任せなさい。超満員の東京ドーム、見せてやるからな」と公言してきたオカダだからこそ「THE MATCH」の成功から受けた刺激はとてつもなく大きかったに違いない。
「元気があれば何でもできる」のならば、オカダの悲願がかなわないわけがない。プロレスだって、また東京ドームを超満員にできるはずだ。(プロレス担当・岡本祐介)












