1月に新団体「ランズエンド」を本格始動した元ゼロワンの崔領二(36)が、今後の野望を激白した。実に約4億円もの資金を手にビジネスを展開している“青年実業家”レスラーは、50歳で総資産50億円の大目標を掲げた。積極的な海外進出から友好関係にある全日本プロレスとの今後についてまで、異色男が描くビジョンとは――。

 ――1月にゼロワンを退団し新団体「ランズエンド」を立ち上げた

 崔:心境に大きな変化があった。昨年8月13日にランズエンド1(東京・新木場)をやり、心のズレはそこから出ていたんだと思う。簡単に言うと野球、サッカーを見ていて悔しい気持ちになっていた。知名度とかで負けているって。ゼロワンがどうこうじゃなく、もっと大きいものにライバル心を持ったんです。

 ――なるほど

 崔:じゃあどうするかと理論立てた。例えばドロップキックがキレイだったとその選手は満足しても、客は何とも思ってない。「俺ってチャンピオン。すごいんだぞ」で動く金はチケット20枚が限度。でも思いつかないことやったり、生きざまを見せて人の心をつかむと億の金が動くんです。

 ――動いたのか

 崔:はい。3月に(ある実業家と)話をして3億円が振り込まれた。そのほか1億円を5年で割り、1年2000万円を「自由に使っていい。5年は面倒を見る」と言われた。(当時35歳で)5年で40歳になるから、それまでに成し遂げる。3億円は無利子だけど返さないといけない。

 ――どう使ったのか

 崔:お金のインフラを引いた。(大阪に)「ランズエンドマンション」を1億円で買ったんです。プロレスラーが飲食店をやったとか聞くけど、現実は9割潰れているからいいインフラといえない。最初に大きいお金で買うと利回り的に9年で分岐点。あとは利益が右肩上がりに伸びていく。9年後はプロレス界でいうと一線級から外れて年収が落ちていく年齢だけど、ボクは反比例していく。これがインフラなんです。

 ――残る2億円は

 崔:もう1億が飲食事業への出資とフィットネス事業。来年、都内でランズエンドジムをやる予定です。そして大阪では格闘技道場。最後の1億は来年くらいに都内に自社ビルを買いたいなと。

 ――積極的に海外遠征も行っている

 崔:ぶっちゃけ利益はない。ゼロどころかマイナス。1か国400万円かかるし、10月の欧州ツアーは1400万円。そこまでしてやる海外ツアーの先にあるのは、そんな男に億単位の金を出したいと思われるからです。それで(マイナスが)解消される。世界に航海すると言ったらゾクゾクするじゃないですか。それを追い求めていきたい。だから(スローガンが)「地の果てからの大航海」なんです。

 ――ランズエンドの意味は「地の果て」だ

 崔:英国にランズエンドという岬があって、留学した高校時代に住んでいた。いま描いているメディア戦略とか全部、現地の高校の教え。損して得を取る。(周囲が)日銭を稼いでいる中で、泳がせて最後に大きい屋根を取るみたいな考え。でも、ボクは天才じゃないから努力し続けないと置いていかれる危機感がある。

 ――他のレスラーとは何が違うと思うか

 崔:ビジョンじゃないですか。右を向いている人の9割がビジネスになっていない状況で、左を向いているボクだけが4億円を動かし、世界ツアーをやっている。この事実をどう受け止めるんでしょうか?というところ。ランズエンドに出たい若手がいたらウエルカム。ノウハウはいつでも教える。

 ――最後に

 崔:骨をうずめるつもりでやっている。50歳くらいになった時に全団体を応援してますよ。今の理論でいうと、その時は間違いなく50億円を持っている。考えているマインドと崔領二という商品、ランズエンドというブランドが爆発的に商売になると思っています。

【10月には初の欧州進出】ランズエンドはこれまで香港、韓国、ベトナムで興行を開催。26日に台湾大会、27日には韓国大会を予定しており、10月5日から7日までは初の欧州進出が決定。ロンドン、ウェールズ、スコットランドを転戦する。その後は「アフリカ大会からガラパゴス諸島大会、そして南極大会につなげます。その前にイタリア、スペイン、ドイツ、フランスもスイスも全部行くつもり。コネも道もないけど、自分で切り開く」(崔)と夢は大きい。

☆さい・りょうじ=1980年6月3日、三重・伊勢市出身。2001年9月1日のゼロワン後楽園大会(対イゴール・メインダート)でデビュー。09年に世界ヘビー級王座を奪取。実兄は格闘家のRYO。必殺技は「那智の滝」(ダイビングフットスタンプ)で、同地の観光大使も務める。188センチ、107キロ。