「ジャンボ鶴田23回忌追善興行」が31日に東京・後楽園ホールで行われ、タイガー戸口(74)が約54年に及ぶレスラー生活に終止符を打った。

 戸口は1967年3月に日本プロレスに入門し、団体崩壊直前の72年12月に単身渡米。「キム・ドク」としてトップヒールの座を確立した。76年に一時帰国すると全日本プロレスに参戦し、鶴田さんと名勝負を繰り広げた。

 ライバルの追善興行を引退試合の舞台に選んだ戸口は、藤波辰爾、谷津嘉章と組んで渕正信、越中詩郎、井上雅央組と6人タッグ戦で激突した。コーナーポストに上がって空中技を仕掛けようとしたところで、越中のデッドリードライブからジャンピングヒップアタックを浴びたが、気迫で立ち上がる。井上のラリアートを正面から受けとめると、ランニングネックブリーカーで反撃開始。最後はツームストーンパイルドライバーで3カウントを奪い、有終の美を飾った。

 懇切丁寧に関係者へお礼の言葉を述べた戸口は最後にマイクで「54年間、世界を回ってきました。これからも若い連中がやってくれればいいなと。ひとつだけ言っておく。お前ら、プロレスの火を消すな」とメッセージ。引退の10カウントゴングを聞き終えると、マットにキスをして引きあげた。

 万感の表情でバックステージに現れた戸口だが「完全に消耗したとは言えないですよね。なぜかって言うと今の若い人はみんなデタラメだから。バカばっかりだから。まあ、まともに頭の賢いのはそんなにいないと思います。試合見てたら分かる。俺も辞めたくはないけど、年も年なので。ちょうど鶴田も23回忌。彼が仏から神にあがる時だからちょうどいいなと」と、今後を担う後輩たちにはなんとも厳しいゲキ。

「本当に、ありがとうございました。一生懸命やってきたことが終わりだと思います。これから若いヤツがプロレスをつぶさないようにしてください、それだけです!」と、最後まで業界の未来を案じていた。