ケニー・オメガ独占激白「俺がやりたいのは見る人の人生を変えるプロレス だからAEWなんだ」

2019年02月23日 11時00分

ケニーは世界のプロレス界を変える決意だ

 新日本プロレス、DDTで約10年間にわたり日本マット界のトップ外国人選手として君臨したケニー・オメガ(35)が、本紙のインタビューで新たな挑戦について語った。1月限りで新日プロとの契約を満了し、米国の新団体「AEW(オール・エリート・レスリング)」参戦を発表。世界中のプロレスファンの注目を集めるベストバウトマシンが、決断に至った経緯と今後の野望を明かした。

 ――AEWへの移籍を決めた

 ケニー:もちろん日本は大好きだよ。まだ住んでるし、好きなプロレスも日本にある。でも新日本で今の自分ができることがあまりなかった。

 ――WWEからのオファーもあったというが

 ケニー:WWEには確かに自分のやりたいドリームマッチがある。それはAJスタイルズだ。でも、例えば「レッスルマニアに出たい」と言うレスラーがいるよね。自分にとってのレッスルマニアは東京ドームだった。一番大きな夢はもうかなえたから。これからは自分だけのためでなく、プロレスのためのことに集中したくなった。彼らのまねはしたくないね。自分の好きなプロレスを世界に見せたい。それがAEWだった。

 ――AEWは資金も莫大と言われている

 ケニー:それは全然関係ない。もう俺もいい大人なんだけど、お金のためにやっていない。自分のプロレスを通じて、見る人の人生を変えたい。うつ病の人がプロレスを見るとうれしくなって自分の問題を忘れられるとか、そういうことの方が重要。お金や自己実現のために戦うレスラーも多いけど、俺は美しいアートを見せたい。

 ――世界を変えると

 ケニー:これまでの業界では、まるで会社のスタッフやオーナーがファンに対し「これがプロレスですよ」と上から教えてるような風潮があった。AEWは違う。選手たちがそれぞれ大事にしている心からのプロレスを見せることができる。

 ――副社長に就任した

 ケニー:(オーナーの)トニー・カンはNFLのチームも見ているし、投資家の活動もしている。でもプロレスのビジネスは初めてだから、分かっている人間が必要だ。それが俺たち。俺は今、女子選手を担当している。誰が優れているのか。タレントスカウトだね。

 ――参戦発表されたアジャ・コング(48)と坂崎ユカはケニーの推薦か

 ケニー:もちろん。今の時代において、新日本がミスしていると思うのは、女子が試合に出られないことだ。昨年6月に俺が関わった(格闘ゲームのイベント)「CEO×NJPW」(フロリダ州)では、女子の試合を1つ入れたくて新日本に提案した。結局「それは新日本ではない」と断られた。今はもう2019年だ。女子と男子は同じステージに立てると思っている。そして俺がいいと思っている女子選手はほとんど日本にいる。

 ――2人を選んだ理由は

 ケニー:アジャさんはレジェンドだけど、今もすごい試合ができる。それと、俺はDDTとまた仕事をしたいんだ。DDTのスタイルを見せたいし、坂崎さんのスタイルは本当のオリジナル。似ている選手もいない。

 ――今後注目する選手

 ケニー:例えば水波綾は素晴らしいレスラーだ。DDTやOZ(アカデミー)だけでなく、WAVEや我闘雲舞とも話をして、フリーの選手にも声をかけている。他にもいろいろな団体と話をしたいと思っているよ。

 ――10年過ごした日本を離れることになるが

 ケニー:だから契約の中でチャンス、タイミングが合えばいつでも新日本にも戻れるような項目をつくった。WWEのような契約ではない。本当に俺は今、どこでも出られるんだよ。副社長としての仕事が忙しいから、まずはそっちに集中しないといけないけどね。

 ――日本の団体との提携については

 ケニー:この業界には政治的な部分があって、例えば新日本がルチャの団体と仕事をするのはなぜかCMLLだけ。その理由をちゃんと分かる人間がいるのか? それは“背広組”だけの問題だ。AEWは「選手イコール会社」だからそういう考えはない。もしやりたいことが一緒の団体があるなら一緒にやりたい。

 ――ファンにひと言

 ケニー:もちろんみんなの気持ち、応援をうれしく思っている。日本のプロレスもファンも忘れていない。日本でもAEWを見る方法を探しているし、また会場でみんながケニーの試合を見られるようにしたい。いつか日本でAEWの大会もしたいし、日本の団体に上がることもあるかもしれないしね。また会える日まで、グッバイ&グッナイ!

【AEWとは】サッカーのイングランド・プレミアリーグのフラムとNFL(米プロアメリカンフットボールリーグ)ジャガーズを傘下に置き、総資産が87億ドル(約9630億円)という大富豪シャヒド・カン氏の息子、トニー・カン氏が同団体のオーナー。1億ドル(約110億円)以上が投入されるとも言われ、海外メディアによると高額なファイトマネーが用意されているという。5月25日にネバダ州ラスベガスのMGMグランド・ガーデンアリーナで旗揚げ戦を行う予定。これまで男子選手ではクリス・ジェリコ、ヤングバックス(マット&ニック・ジャクソン)、Cody、ハングマン・ペイジ、PACらの参戦が決定。またCIMA率いる「OWE」との提携も発表された。

【新日残留の盟友・飯伏に贈る言葉】日本で名タッグ「ゴールデン☆ラヴァーズ」を結成した唯一無二の盟友・飯伏幸太(36)は、新日本プロレス残留を表明した。

 別々の道を歩むことについてケニーは「やっぱりこれはタイミングだね…」と寂しげな表情を浮かべた。それでも「去年の俺はキャリアで最も幸せな1年だったかもしれない。だけど飯伏さんは『足りない』と思っているものがあった。それは自分の結果。まだ次のステージに行く時ではない気がしたんじゃないですか?」と飯伏の決断を尊重した。

 DDT時代から続く2人の物語は、すれ違いの期間も多かった。「やっぱり2人とも幸せでないとダメ。もう俺はファンのために(自分のことに)集中しているし、飯伏さんは必ず結果を出すと思っている。いつまた復活できるかは分からないけど、その時まで俺は応援するしかない。飯伏さんの言葉の本当の意味を一番分かっているのは自分だと思っている」。再会の日が訪れることを信じ、自らの道を進む。

☆ケニー・オメガ 本名非公表。1983年10月16日生まれ、カナダ・マニトバ州ウィニペグ出身。2000年2月に地元団体でデビューし、08年にDDTで初来日。14年から主戦場を新日本プロレスに移した。16年にG1クライマックス優勝、18年にIWGPヘビー級王座獲得。10、17、18年度の東京スポーツ新聞社制定「プロレス大賞」ベストバウト受賞。必殺技は片翼の天使。183センチ、92キロ。