3月3日は桃の節句、ひな祭り! 女の子の成長を祝う縁起の良い日ですよね。そこで今回は、一年に一度のひな祭りを目一杯“めでたい日”にする乗り鉄をご紹介します。

 この日にピッタリなのは、和歌山県を走る南海電鉄加太線です。港町を走ることから「加太さかな線」という愛称も付いているこの路線には、鯛のような見た目をした観光列車「めでたいでんしゃ」が、線路をスイスイと泳ぐように走っています。

「めでたいでんしゃ」には、ピンク色のお母さん「さち」と水色のお父さん「かい」、赤色の子供「なな」の3種類があります。車内は招き猫のイラストや縁結びシート、鯛のお内裏様とおひな様がドアに描かれていてカラフルでとってもかわいい! 終点である加太駅の駅員さんは、制服に魚屋さんの前掛けをしてお迎えしてくれます。

 加太駅から歩いて15分ほどの海岸沿いにある、人形供養で有名な淡嶋神社にもぜひ行きましょう! 境内には全国から奉納された人形が約2万体並んでいて、ちょっとゾッとしますが、ひな祭りの日は、さらにすごい光景に出会えます。

 まず本殿には、朝の山手線の通勤ラッシュを上回るほど、ギッシリと並べられた約6000対のおひな様たち! 想像すると恐ろしく思えますが、実際は幻想的な世界と神秘的な雰囲気に包まれていました。

 400体のひな人形を海に流す「ひな流し」という儀式も行われます。これは女性が無事に成長することと幸せを願い、3隻の小舟に人形を乗せ、宮司のおはらいの後に海へ流す神事。

 人形を乗せた舟は1隻100キロにもなりますが、参加した女性がおみこしのように担ぎ、境内から海までの700メートルを運びます。これを「雛舟渡御」というそうで、運んだ女性は健康になるといわれています。

 この神事は毎年3月3日に行われますが、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、残念ながら「雛舟渡御」だけは中止になってしまいました。来年以降は行われると思うので、ぜひ一度、足を運んでくださいね。

 ここで木村ポイント! 境内奥には安産・子請授・婦人病等、女性の願いが叶うところであり、女性が一度、身に着けた下着を奉納する末社があります。

「下着を奉納する方は格子の中へ投げ入れて下さい」と書かれた札の奥を恐る恐るのぞくと、たくさんのパンツが山積みになってました。あらかじめ袋に入れて持参する方がほとんどですが、もし忘れても大丈夫。替えのパンツも販売していますから。

 それではおめでたい電車に乗って女性の幸せを願いに、出発進行~!

☆きむら・ゆうこ=1982年8月17日生まれ。愛知県出身。鉄道をこよなく愛する鉄旅タレント。2015年にはJR、私鉄、地下鉄、ケーブルカー、モノレールなど、日本全国にある鉄道を全線乗車する「日本国内鉄道全線完乗」を達成。乗車した走行距離は約2万8000キロメートル。