東スポさんの読者なら笑ってくれるような、私の黒歴史をさらしたいと思います! 20代前半のころ、グラビアアイドルをやっていました。といっても恥ずかしながらBカップで、どの水着もスッカスカのため、パッドを大量に使って見せるという、色気ゼロのグラビアです。

 そのころの私は、インタビューなどで「彼氏はいるの?」という質問を受けると「新幹線400系と付き合っています(ハート)」と答えていました。といってもそれはウソではなく、本当に心の底から恋していたんです!

 400系とは、東京と新庄を走る山形新幹線つばさのこと。上京して初めて“彼”を見た時、そのカッコよさに一目ぼれしてしまいました。引き締まったメタリックシルバーの車体に緑のライン、他の新幹線は軽量化のためアルミニウム合金が使われるのに、400系は鉄が含まれる普通鋼でできているところに、男らしさを感じます!

 山形新幹線は在来線の区間も走るので車体が一回り小さく、新幹線の駅に停車する時はホームと乗降口に大きな隙間ができてしまうんです。その隙間を埋めるため、停車時にはさりげなくステップをスッと出すんですが、その姿が優しさにあふれていると思いませんか?

 そんなつばさくんに恋をした私はのめり込んでいき、とうとう突飛なことをやってしまいました。“彼”のデビューは1992年の7月1日だったので、「誕生日を盛大にお祝いしたい!」と思ったんです。

 2009年7月1日、ホールケーキを購入した26歳の私は、ケーキの上に“つばさくん、お誕生日おめでとう”と書いたメッセージまで乗せ、東京駅のホームへ向かいました。暑さで溶けていくケーキを手に、ドキドキしながら“彼”を待ちました。先頭部分でケーキを掲げ、お誕生日の歌を歌い、ラブラブツーショット写真を収めると、“彼”は折り返して新庄へ向けて出発して行きました。

 当時はそんな姿を見て「もう、彼ったら仕事熱心なんだからぁ~(ハート)」と、頭の中はお花畑ワールド。なおこの400系は10年に引退し、現在は埼玉の鉄道博物館に展示されています。

 ここで木村ポイント!「彼氏は400系(ハート)」と言い続けた結果、引退時に私に取材が殺到するというまさかの展開となりました。しかもそれは、NHKの番組や海外の英字新聞にまで。「彼女として今の心境は?」と聞かれた時、妄想って言い続けると現実になるんだなっと驚きました。それでは、イケメンの元カレ400系つばさくんに会いに、鉄道博物館へ出発進行~!

 (毎週火曜掲載)

☆きむら・ゆうこ=1982年8月17日生まれ。愛知県出身。鉄道をこよなく愛する鉄旅タレント。2015年にはJR、私鉄、地下鉄、ケーブルカー、モノレールなど、日本全国にある鉄道を全線乗車する「日本国内鉄道全線完乗」を達成。乗車した走行距離は約2万8000キロメートル。