大みそかの格闘技イベント「RIZIN.33」(さいたまスーパーアリーナ)の会見が行われ、榊原信行CEO(58)が〝キック界の神童〟那須川天心(23)ラストマッチの最有力候補だったムエタイ戦士・吉成名高との一戦が消滅し〝火の玉ボーイ〟五味隆典(43)と対戦するに至った経緯を説明した。

 RIZINは日本人で初めてムエタイの二大殿堂のタイトル「ラジャダムナンスタジアム」と「ルンピニースタジアム」のタイトル統一を達成した吉成名高を、1年前から那須川のラストマッチの相手筆頭候補にリストアップ。吉成もその期待以上の戦いで、参戦から4戦連続KO勝ちの結果を残していた。

 榊原信行CEOも25日の会見で「名高選手に1年くらい前から(ラストマッチの相手として)オファーしていました」と明かす。さらに当初予定されていた武尊戦がなくなった6月にもオファーをし、その際には「『まだ体格ができていないので大みそかに照準を絞っています』とのことだった。それで12月5日に(那須川と同じ)55キロで試合をしたわけです。だからラストマッチは出てくるだろうと思っていた」とのこと。そして「悩みに悩んで『受けれません』というのが3週間切っていたと思います。手のひらに乗せられたチャンスをつかめなかったらスターになれないから残念です。ただ、選べなかった理由はあると思うので仕方ない」と話した。

 この後、吉成は自身のツイッターで「今回の大みそか、那須川天心選手との試合のオファーはいただきました。正直、逃げたと言われるような行動はしていないです。事実と異なることが伝わってしまい悲しいし悔しいです」とコメント。また、吉成の陣営が「逃げたではなく 条件が合わなかった が一番正しい表現でRIZINや那須川天心選手をリスペクトしています」とツイート。

 これに榊原CEOは「条件が合わなかったんでしょうね。受けなかったのは残念だけど自由だから。でも、だったら天心の名前も出すべきじゃない。RIZINでも天心との試合を匂わせて試合をするべきじゃない。1年前、『天心を目指していくんだよ』と言って『分かりました』と言ったのがスタート。彼も1年頑張ったけど、天心の前に立つ勇気がなかった。それだけだと思う。条件が合わなかったんじゃなくて。感情的になっちゃうけど…、RIZINでもずっと光らせてきて、最後にすかされた」と無念そうに話した。

 そんな中、直前のオファーを受けたのがベテランの五味。榊原CEOは「2週間前だったんですけど、意を決して電話してみたんです。『大みそか試合してくれ』って。この男は、準備は全くしてなかったんですが『えー2週間っすよ』と言いながら『分かりました。いろんな条件詰めましょう』と、ほぼその場で受けてくれた。それで次の日に東林間のジムに行ったんですけど。本当に五味隆典に助けられた」と話していた。