ついに言っちゃった!? 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(67)が東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長(56)と13日に会談し「最も大事なのは中国の人々」と〝世紀の大失言〟を放ち、全世界に波紋が広がった。日本国内では猛反発の嵐が吹き荒れる一方で、来年に北京五輪を控える中国は狂喜乱舞。かねてバッハ会長と中国の蜜月関係が指摘されてきただけに、単なる言い間違いではなく〝ぼったくり男爵〟の本音が出たとの見方が出ている。


 世紀の大失言だ。まさかのひと言は、バッハ会長が東京・晴海の組織委を表敬訪問した際に飛び出した。橋本会長らと面会した際に「最も大事なのはチャイニーズピーポー」と発言。すぐさま「ジャパニーズピーポーの安全だ」と言い直し、最後には「ガンバリマショウ!」と締めくくったが、完全に後の祭りだ。大失言は瞬く間に世界中に発信され、大きな波紋が広がった。

 日本国内ではツイッター上で「#チャイニーズピープル」「#バッハ会長痛恨」などのワードが複数トレンド入り。日本よりも中国を意識しているかのような発言に、ネット上では「言語学のスピーチ分析でも、言い間違いは本音の表れとみなされます」「バッハは言い間違えたのではない…本心でしょ?」「気分は北京五輪か!?」となどと怒りの声が相次いだ。

 一方で、このバッハ会長の発言に沸いているのが中国だ。この騒動を報じた中国メディア「新浪」には中国国民からの反響が多く寄せられており「世界におけるリトルジャパンの重みは重要ではないことを表している」と勝ち誇る声や「バッハ会長は中国が大好きなんだ!」「バッハは中国に弱い立場にある」と中国との極めて親密な関係を指摘する声も上がっている。

 実際、IOCの最高位スポンサーには中国から「アリババグループ」と「蒙牛乳業」が入っているほか、「ANTA」は東京五輪などで公式スポーツウエアユニホームサプライヤー契約を結んでいる。さらにバッハ会長は中国の習近平国家主席(68)と今年だけで何度も電話会談するなど〝盟友〟の間柄だ。3月には突然、東京五輪で中国製ワクチンの提供計画をぶち上げて日本側を仰天させた。

 かねて金満体質のIOCと中国はズブズブの関係にあると指摘されてきた。それだけにバッハ会長は東京五輪ではなく、来年冬に北京五輪を開催する中国のことで頭がいっぱいだったと受け止められても仕方がない。

 また、欧米メディアもバッハ失言を相次いで報道した。米「ワシントン・ポスト」は「五輪サイズの失言」と一刀両断。「バッハ会長が来日最初の公の場で日本の人々に対し中国人と言い、すでにガタついたイメージをさらに膨らませた」と過去の失言録とともに皮肉交じりに伝えた。英「ガーディアン」も「五輪がスーパースプレッダーイベントにならないと日本人に安心させようとした場面で中国人と言った」と痛恨のミスを報じ「恥ずかしいスタートを切った」とバッサリだ。

 東京五輪を巡る失言といえば、組織委前会長の森喜朗氏(83)が「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと話したことが大騒動に発展。この時も発言が全世界で報じられ、最終的に辞任に追い込まれた。もはや五輪の重鎮たちは「失言癖」が身についてしまっているのか。来日直後の〝第一声〟がこれでは、先が思いやられるばかりだ。

【カナダのトルドー首相も】中国の共産党機関紙「人民日報」系の「環球時報」電子版もバッハ会長の言い間違いを報道。日本のネット上での「日本人と中国人は同じに見えるんだろ」とのコメントを引用し「一部の日本人にとっては許しがたい発言となった」と報じた。

 また「公の場で日本と中国が混同されたことはよくある」と過去の例を掲載。「カナダのトルドー首相は2019年にオタワで訪問した当時の安倍晋三首相との会談で、2回連続で『日本』を『中国』と誤って表現した。ニュージーランドのアーダーン首相は2019年の訪日インタビューで中国と日本を混同し『中国との関係』と間違えた」などと伝えた。

 また中国のネット上では「彼らにとってアジアと言えば中国、中国と言えばアジアが浮かぶのか」「2008年の北京五輪が盛大すぎて忘れられないのか」などと、からかうコメントも多数書き込まれた。いずれにせよ、タイミングと場所を考えれば笑い話では済まされない大失態となった。