広島は16日、鈴木誠也外野手(27)の米大リーグ挑戦を容認すると発表した。来週中にもポスティング申請の手続きに入る。ジャパンの主砲でもある鈴木誠には、すでにメジャーの複数球団が注目。その評価は急上昇している。

 争奪戦は必至だ。ポスティングシステムによるメジャー移籍を目指すことになった広島・鈴木誠を巡っては、かねてMLB7~8球団が獲得調査を進めているとみられている。

 日本ラストイヤーとなる今季は首位打者(打率3割1分7厘)、最高出塁率(4割3分3厘)の2冠を達成し、本塁打もリーグ最多に1本差となる自己最多38本をマーク。特にMLBも重視するセイバーメトリクスの指標「ОPS(出塁率+長打率)」は1・090でリーグトップの数値を叩き出した。

 3年連続となる外野手部門でのゴールデン・グラブ賞受賞も確実視されている。打撃面に加え守備や走塁も含め、いわゆる「5ツールプレーヤー」(ミート力、長打力、走力、守備力、送球力)として総合力の高さが海の向こうにおける鈴木誠の評価高騰へとつながっている。

 米メディアでは早くもレッドソックスやレンジャーズ、マリナーズ、ドジャース、メッツなどの球団名が報じられている中、鈴木誠の獲得へ本腰を入れそうなのが今季のナ・リーグ西地区王者SFジャイアンツだ。今オフに新たに3年契約を結び直した元巨人のキャプラー監督とザイディ編成本部長の〝元ドジャースフロント編成コンビ〟、そしてハリスGMがスカウティングリポートを基に鈴木誠の「総合力」を高く評価し「本拠地オラクル・パークにジャストフィットする」と分析しているという。

「海からの向かい風を伴う変形球場だけに打者不利と評され、守備も難しいとされるオラクル・パークだが、5ツールプレーヤーとして数値の高い鈴木ならアジャスト(順応)するのにそう苦にしないだろう。外野は総じて迫力に欠け、パワー不足となっていることもジャイアンツが彼を欲する理由。かつて在籍した日本人外野手の新庄(日本ハム監督)、青木(ヤクルト)を超える存在になると踏んでいるようだ」(MLB関係者)

 米メディアから最大で「5年5500万ドル(約61億円)」との契約予想も飛び交う。当面〝セイヤ・スズキ狂奏曲〟が吹き荒れそうだ。