ロッテ・荻野 「タイトルより優勝」のウラにプロ1年目の屈辱

2020年04月16日 16時30分

リーグ優勝を第一に考えているという荻野

 シーズン開幕の見通しが立たない中、プロ11年目のロッテ・荻野貴司外野手(34)が黙々と調整に励んでいる。オープン戦期間中には「去年の成績はもう忘れていますから。僕自身は今季もゼロからのスタートと思ってやっています。いつ開幕が来てもいけるように準備はしておかないといけませんから」とも話していた。

 昨季は自己最多の125試合に出場し、打率はリーグ3位の3割1分5厘。ベストナインとゴールデン・グラブ賞に輝くなど節目のプロ10年目で華々しい成績を残した。となれば、今季は長年の目標だった盗塁王や昨季逃した首位打者に照準を合わせてもよさそうだが、本人は「盗塁王を含めたタイトルはもう意識していない」と話し「それよりリーグ優勝したいんです」とチーム優先の姿勢を強調する。

 数年前まではタイトル獲得を公言していた球界屈指の韋駄天がなぜ、長年の目標を捨て優勝にこだわるのか。荻野の胸にはプロ1年目の屈辱を晴らしたい思いがある。

 2010年シーズン、新人だった荻野はキャンプから頭角を現し、俊足巧打を武器にレギュラーを獲得。開幕スタメンで臨んだシーズンは5月中旬までに25盗塁を記録するなどチームの開幕ダッシュに貢献した。だが、5月21日のヤクルト戦で二盗を試みた際に右ヒザを負傷。結局、半月板の手術を余儀なくされ、その後のシーズンを棒に振った。一方、チームはリーグ3位ながらCSを勝ち抜き「史上最大の下克上」で日本一に。シーズン序盤の功労者は歓喜の輪に加わることができなかった。

「あの下克上での日本一は本当に複雑な気持ちでした。当時、僕は鴨川(千葉)の秋季キャンプ地でテレビを見ていたのですが素直には喜べなかった。悔しいというか情けなさというか。その思いがずっと心に残っているので優勝してその気持ちを振り払いたい。今年はそのチャンスがあると思いますからね」

 ロッテはオフにFAで美馬、福田秀を獲得。実績のある外国人選手や大物ルーキー・佐々木朗も加入した。05年以来となるリーグ優勝に向けた戦力は揃いつつある。

「僕ももういい年ですし、あとどれぐらい野球ができるかわからないので。いい状態を保ちながら開幕を待ちます」

 コロナ禍で未曽有のシーズンになりそうな今季のプロ野球界だが…。秘めたる思いを胸にするベテラン外野手に気の緩みはない。