独自の対北朝鮮外交を続けているアントニオ猪木参院議員(71=次世代の党)が8日、東京・有楽町で街頭演説。終了後は再訪朝について「今のところはないが、いずれ行くと思う」と話した。

 拉致被害者らの再調査の報告を先延ばししている北朝鮮。この日の参院予算委員会で、安倍晋三首相(60)は「大変残念な状況になっている」との認識を示した。菅義偉官房長官(65)は記者会見で、北朝鮮外務省高官が国連本部で各国に「日本人拉致問題は完全に解決済み」と主張したことについて、「生存者がいれば途中でも通報するという日朝政府間の合意に基づき、特別調査委員会ができた。しっかりと誠実に調査してほしい」と求めた。

 8月末に平壌でプロレス大会を成功させて帰国後、猪木氏は「私のカンではありますけど、向こうは落としどころをほとんど準備できている。後は日本の受け入れ態勢がどうなっているか」との見通しを示している。当時は拉致問題解決は前進した雰囲気だった。

 ところが、前出の安倍首相発言のように、現状は停滞。外務省を中心に拉致問題の解決が進められていることについて、猪木氏は「難しくなっていると思うね」と手詰まり感も示唆。「でも、政府のやり方がダメになったときは俺たちが持っているルートがある」と改めて独自外交への意気込みを語った。

 拉致問題の再調査をめぐり、日朝間でズレがあるのは明白だ。平壌情勢に詳しい関係者は「安倍内閣が認定している拉致被害者は17人。警察庁がホームページに掲載している『拉致の可能性を排除できない事案に係る方々』が出している数字は何百人という数です。拉致被害者について日朝間で落としどころを決めてないから、認識の違いが出てきた」と指摘する。

 超党派の国会議員で結成された「北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟」は、16日の総会で今後の取り組み方について議論を交わす。安倍内閣で、猪木氏の“闘魂外交”という選択肢は浮上するのか。