鹿児島市から南へ約370キロメートルのところにある奄美大島を中心とした奄美群島に伝わる妖怪が「ケンムン」だ。このケンムン、奄美のカッパとも言うべき存在である。

 奄美大島は非常に広いマングローブ(熱帯・亜熱帯の海水に浸る土地に成立する森林)があり、山間部には原生林が広がる。周囲を青く澄んだ海に囲まれ、サンゴ礁が広がり、天然記念物も生息する自然豊かな土地である。

 また、九州よりも沖縄に近いため琉球文化圏に属しており、沖縄とも本土とも違った独自の風習があるなど、文化的にも非常に興味深い地域だ。〝東洋のガラパゴス〟とも呼ばれ、観光客が多く訪れる。どのような生物が生息し、発見されるのか、いまだ分からないところがある。

 さて、ケンムンであるが、沖縄のキジムナーとも似た存在で、妖怪として長く伝わってきた。大きさは5〜6歳の人間の子供と同じ程度。全身を体毛に覆われているのでサルに近いものかと思われる。顔はサルにもイヌにもネコにも似ている。目は赤く口がとがっている。

 これでは猿人型のUMAのようなものに思われるかもしれないので、カッパとの類似点を挙げていこう。

 まず、頭頂部に皿があるとも伝わっていて、そこには水か油が入っている。そして相撲をとるのが好きで、魚を取るのが得意で水辺を好む。

 ここまでだと伝承上の存在なのだが、2010年にケンムンらしき存在が目撃されているのだ。1月20日午後2時ごろ、奄美大島名瀬の海岸でAさんが直径5センチほどの円形の足跡が20センチ間隔で20メートルほど続いているのを発見した。

 足跡の指先は3つに分かれており、二足歩行の生物だということも分かっている。

 奄美博物館の中山館長によれば、同様の足跡が20年前にも発見されているという。10年ほど前にはケンムンの捕獲に成功した人がいるとも言われているが、籠に入れておいたはずが、撮影しようとしたらいなくなっていたとのことだ。

 ケンムンは人に危害を加えるような存在ではないらしいが、イタズラ好きなものもいるとも言われている。人を脅かしたり食べ物を盗んだりするのだ。日本中に伝わるカッパのような存在。これらが解明される日は来るのだろうか。