中国・武漢での新型コロナウイルスとの闘いを描いた中国映画が、約6年間お蔵入りになった末、ようやく公開されるはずだったが、直前になって上映が見送られた疑いが浮上した。中国のネットユーザーからは「もう思い出したくない」などと拒否反応が起きている。香港メディア「星島頭條」が6日、報じた。

 問題となっているのは、中国映画「白衣逆行者」(撮影当時のタイトルは「戦疫天使」)だ。製作から約6年間お蔵入りとなっていたが、先月17日、中国本土で今月6日に公開されることが正式発表された。ところが、公開当日になっても映画の前売り券が販売されず、上映が突然取り消されたのではないかとの見方が広がっている。

 同作は香港のハーマン・ヤウ監督がメガホンを取り、香港の俳優アンディ・ラウや中国本土の女優ヤン・ズーシャンらが出演。2020年初頭に新型コロナウイルスの感染が拡大した武漢を舞台に、医療従事者や一般市民が力を合わせて感染症と闘う姿を描いている。

 撮影は2020年12月に終了したものの、公開されない状態が続いていた。そして約6年を経て、ようやく公開日が決まったが、その発表後、中国のネットユーザーの間で議論が巻き起こった。

 多くの人が同作を「時代遅れのコロナ対策映画」と批判。ネット上には「傷口はもうかさぶたになったのに、なぜまた剥がそうとするのか」「もう思い出したくない」「なぜ今さら無理やり公開しようとするのか」などのコメントが相次いだ。

 中国では2020年初頭に武漢が封鎖され、その後も厳しい移動制限や大規模なPCR検査などが繰り返された。長期にわたる「ゼロコロナ政策」は市民生活に大きな影響を与え、当時の経験を苦い記憶として抱える人も少なくない。感染症と闘う人々の姿を美談として描く映画に、複雑な感情を抱く人がいるようだ。

 一方、中国本土の映画チケット販売サイト「猫眼(マオイエン)」などでは、同作のチケットを購入できず、公開予定も「2026年」と表示されている。映画レビューサイト「豆瓣(ドウバン)」でも公開予定日が「2027年(未定)」に変更された。

 ただし、製作・配給側は公開中止や延期を正式に発表していない。