三重県鳥羽市の鳥羽水族館で飼育されていたラッコ「キラ」(メス、18歳)が5日、死んだ。2008年4月にアドベンチャーワールド(和歌山県白浜町)で生まれ、21年3月に鳥羽水族館に移送。同館生まれのメイ(メス、22歳)と一緒に飼育されて人気者だったが、これで国内飼育個体は1頭のみとなった。

 キラは8月から足腰に不調がみられ、体重も減少。11月4日から展示を中止し、治療に専念していた。死因は呼吸不全による心肺停止とみられる。ラッコの寿命は20歳前後とされる。

 キラとメイの人気ぶりと、国内飼育数減少の背景は、本紙動物特集号「東スポ的アニマル」(オンライン販売中)で詳報していた。ピーク時の1994年には日本の飼育・展示施設28か所に122頭いたラッコがなぜいなくなったのか。

「98年を最後に米国からの輸出が停止され、2003年を最後にロシアからも日本への輸出は停止されました。日本で飼育されていた122頭のうち、半数以上は国内での繁殖個体でしたが、世代交代するにつれ、繁殖力が低下し、個体の高齢化が進んだこともあり、飼育個体は減少しました」(鳥羽水族館担当者)

 各施設のラッコをなんとか増やしてほしいが、大きな壁もある。

 18~20世紀、ラッコは上質な毛皮の採取を目的に乱獲されたことから、捕獲禁止法がつくられ、1970年代にはワシントン条約に記載された。89年の米アラスカ沖タンカー座礁事故による原油流出で生息数が減少し、2000年にIUCN(国際自然保護連合)が絶滅危惧種レッドリストに指定した。

 10年ほど前から北海道・千島列島周辺でラッコの目撃情報が増えており、それを捕獲して水族館で飼育できそうな気もするが、それも違法だ。

「北海道沿岸でチシマラッコが増加していることをふまえると、ロシアの個体数があふれて北海道に南下している可能性が考えられます。しかし、日本の法律で捕獲が禁止されていることから、水族館が捕獲・展示することはありません」(同)

 唯一、望みはある。各国の法律で捕獲、輸出が禁じられているが、母を亡くすなどで保護された幼獣を人工哺育後、輸出するのはOKだという。

 かつてのようにどこでもラッコ見られるようになるのはかなり厳しいと言わざるを得ない。国内唯一のラッコとなった鳥羽水族館のメイの貴重さが際立つことになった。