歴史的な低迷が続くF1アストンマーティンで今季からタッグを組むホンダが14日に、パワーユニット(PU)の開発責任者の交代を発表して激震が走る中、米メディアが〝舞台裏〟をズバリ指摘した。

 ホンダ・レーシングは、10月1日付でPU開発責任者を角田哲史氏から深尾洋一郎氏に交代する人事を発表した。

 F1本格復帰1年目のシーズン途中にPU開発責任者を交代するという異例の措置はF1界に衝撃を与えており、米スポーツ専門放送局「ESPN」は「ホンダはF1エンジンの不振を受け、責任者を交代させた」、イタリアメディア「フォーミュラクリティカ」も「日本メーカーのPUプロジェクト責任者が解任され、来年のエンジン開発責任者が後任に就任した」と、事実上の解任だったと指摘する報道が相次いでいる。

 波紋が広がる中、米メディア「モータービスケット」は激震の舞台裏を詳説した。

「彼らの問題は、当初F1からの撤退を決定した2021年から22年にまでさかのぼる」と指摘した上で、こう続ける。「プロジェクト初期段階におけるホンダの苦境。ホンダは25年までレッドブルとの提携を継続したが、その活動は限定的だった。FIA(国際自動車連盟)が26年のパワーユニット規定で内燃機関と電気モーターの比率を50対50に定めたことを受け、ホンダはF1復帰を決意した。しかし、レッドブルはすでにフォードとの独自のプログラムに注力していた」と、パートナーだったレッドブルとの別離した経緯を説明する。

 そして「レッドブルのこの動きにより、ホンダの主要エンジニア数名がパワートレイン部門に引き抜かれた一方、一部のエンジニアは他のメーカーに移籍した。その結果、ホンダはアストンマーティンとのパワーユニット開発プロジェクトを率いる経験豊富な人材が不足する事態に陥った」。開幕直後にアストンマーティンのエイドリアン・ニューウェイ代表が示唆したように、ホンダの人材不足の内情をあぶり出した。

 こうした窮状では、史上まれに見る低迷劇も必然だったのだろうか。「これは、現在進行中の26年シーズンに顕著に表れているように、彼らの準備に悪影響を与えた。彼らは、急ピッチな開発とニューウェイの設計についていけなかった。彼らはシーズン初めにいったん後退し、パワーユニットとシャシーの調整、振動問題の解決といった基本的な問題の修正に取り組んだ」と指摘した。

 日本のプライドを背負って最高峰F1の舞台で戦うホンダ。大ナタで逆襲に期待したいところだが…。