崩れかけた王者の「最後の砦(とりで)」に、忘れられかけた剛腕が割って入るかもしれない。ドジャースは5日(日本時間6日)にボビー・ミラー投手(27)を60日間の負傷者リスト(IL)から復帰させた。先発ではなく救援に回る右腕が、終盤戦で不安定さを増すブルペンの「救世主候補」として浮上している。

 米ドジャース専門メディア「ドジャーブルー」は6日(同7日)、ミラーの現在地をクローズアップ。今季は右肩の故障で開幕から離脱し、その後は背中にも問題を抱えたが、8月5日(同6日)に3Aオクラホマシティでリハビリ登板を開始。7試合(先発1試合)で2勝0敗、防御率3・86、14回で17奪三振を記録し、最後の3登板は計5回無失点。直近では99マイル(約159キロ)も計測した。

 何より本人の言葉が頼もしい。「ここしばらくで一番体調がいい」と手応えを口にし、春季キャンプ以降は食生活の改善やコンディショニング強化で約12ポンド(約5・4キロ)の減量にも成功。かつて先発の有望株として期待され、2023年には22試合で11勝4敗、防御率3・76をマークした右腕が、故障と不振を経て別の生き方を模索している。

 その新天地がブルペンだ。昨季終盤にも救援に回ったミラーは「役割が変わって、自分の投球が少し良くなった」と実感。打者に対して常に先手を取り、できるだけ早くアウトを奪う「攻撃的な姿勢」を重要視しているという。連投も視野に入れる救援では、100マイル級の速球を短いイニングで一気に解放できる利点もある。

 今のドジャースには、まさにその力が欲しい。救援陣は7月10日(同11日)以降の31試合で防御率4・66と揺らいだ。首の炎症でIL入りしているディアスは復帰後すぐ守護神へ戻さない方針で、当面はスコットが9回を担う見通し。それでも3連覇を狙う10月へ向け、勝負どころを託せる剛腕は一人でも多い方がいい。

 ミラー自身も「失敗を恐れずに挑む」という境地に達したと語る。成功も失敗も、故障も遠回りも経験した27歳。かつて未来のエース候補と呼ばれた男が、今度は短いイニングを全力で封じる役割で王者を救う――。そんな再生ストーリーなら、ポストシーズン目前のドジャースにとってこれ以上ない追い風になりそうだ。