忘れられた〝ワイルドホース〟が、海の向こうでまだ暴れていた。かつてドジャースで一世を風靡したヤシエル・プイグ外野手(35)が、カナダのセミプロ独立リーグ、カナディアン・ベースボール・リーグ(CBL)で驚異の復活を遂げている。
米経済誌「フォーブス」は6日(日本時間7日)、トロント・メープルリーフスでプレーするプイグの異例のカムバックを特集した。今季は46試合に出場し打率4割1分、24本塁打、57打点、OPS1・454。2013年に記録されたシーズン21本塁打の従来記録を新たに塗り替え、シーズンを終えた。
プイグは13年6月にドジャースでメジャーデビュー。新人ながら104試合で打率3割1分9厘、19本塁打、42打点と鮮烈な数字を残し、翌14年にはオールスターに選出された。18年まで6シーズンをロサンゼルスで過ごし、19年にレッズ、インディアンスでプレーしたのを最後にMLBから遠ざかった。その後はメキシコ、韓国などを渡り歩き、35歳となった今季、CBLで再び豪快なアーチを量産した。
何とも皮肉なのは、その長打力を古巣が今まさに欲しがりそうな状況にあることだ。ドジャース打線は9月突入時点で、7月1日以降の得点がナ・リーグ最少まで落ち込んでいた。大谷は首、右上腕二頭筋、左膝に不安を抱え、直近では先発メンバーを外れる試合が続くなど状態が懸念されている。4日(日本時間5日)のナショナルズ戦ではフリーマンも休養で先発を外れた。ナ・リーグ西地区首位を独走状態で走っているとはいえ、主力を欠きながら綱渡りを続ける打線の不安は消えていない。
こうなるとファン心理としては「あれだけ打てるならプイグを戻せばいい」と言いたくもなる。だが、現実はそう簡単ではない。MLBのポストシーズン出場資格は、少なくとも8月31日(同9月1日)までに球団組織に所属していることが条件となる。今からドジャースが獲得しても10月の戦力にはできず、本気で〝保険〟にするなら夏のうちに動いておく必要があった。
しかもプイグはMLBを6年以上離れ、グラウンド外では法的問題も抱えている。CBLでの24発をそのままメジャーの物差しにはできない。それでも、35歳の〝ワイルドホース〟の豪打が妙にまぶしく映ること自体、王者の打線が抱える苦しい現在地の裏返しでもある。












