高市早苗首相陣営が関与したとされる中傷動画報道がさらなる波紋を広げている。

 高市陣営が昨年の自民党総裁選や今年の衆院選で、他陣営への中傷動画の作成に関与した疑惑報道をめぐり、共同通信と週刊文春が相次いで記事を訂正する事態になっている。
 
 共同通信は15日、一連の疑惑を報じたネット記事で、IT会社代表の松井健氏から提供された動画の作成時期に疑義が生じたとして写真を一部削除し、記事の該当箇所を修正。

 翌16日には週刊文春電子版が公式サイトで「一部の動画に時系列上の問題点が確認されたため、関連動画の公開を一時停止し、併せて本文も修正しました」と報告。一方で「今回の訂正は一部動画の時系列に関する部分にとどまります。高市事務所が総裁選や衆院選において、動画などで対立候補に対する誹謗中傷を行っていた事実関係は、複数のSNS上のメッセージなどによって裏付けられています。疑惑の根幹を揺るがすものではないと認識しています」と強調した。

 これに元参院議員で日本維新の会政調会長補佐兼国対委員長補佐の音喜多駿氏は17日、取材に対し「国会は『真実を明らかにする場』ですが、同時に『検証されていない資料で人を断罪する場』であってはなりません。証拠の真偽が固まらないまま追及を続けることは、仮に対象が政敵であっても民主主義の手続きとして危うさをはらんでいます。野党がこの矛盾を把握したうえで追及を続けるなら、それは政治的な意図が先行していると言わざるを得ません」と指摘する。

 そもそも中傷動画を規制する法律もない。そこで音喜多氏はもう1つの論点を提示する。「AI規制の欠如です。今回問題になったようなディープフェイク型の選挙妨害動画を直接禁じる法律は、現時点では存在しません。公職選挙法の『虚偽事項公表罪』は選挙期間中、候補者への虚偽という要件があり、名誉毀損罪も適用の余地はあるものの、AI生成コンテンツへの対応を想定した規定ではなく、立件のハードルは高い。2025年に成立したAI基本法も罰則を持たない理念法にとどまっています。この法的空白にどう対処するかについては、与野党を超えて議論が必要です」と訴えた。

 真偽の分からない証拠で野党の追及は続くのか。一方で高市首相も国会答弁の訂正を申し出るなど発言にズレがあるのも事実。真実はどこにあるのか。