名門の反攻シナリオが、エース不在で音を立てて崩れ始めた。米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」電子版「ON SI」は10日(日本時間11日)、レッドソックスのギャレット・クロシェット投手(26)の負傷を巡る不可解な状況を伝えた。左広背筋痛で負傷者リスト(IL)入りしているスター左腕は、4月25日(同26日)を最後に登板がなく、当初は軽症と見られていた復帰プランも暗転。地元有力紙「ボストン・グローブ」のピート・エイブラハム記者は、患部の張りが球団の当初見立てより「はるかに深刻」と報じ、クロシェット本人も復帰時期について「全く分からない」と語ったという。
一方で、米メディア「マスライブ」のクリストファー・スミス記者によれば、球団のクレイグ・ブレスロー編成本部長はトレイシー監督代行の説明と同様に「順調に回復している」との認識を示し、重症度に関する新情報はないとしている。エース本人と球団側の発信が食い違って見えるだけに、同サイトも「さらに不可解」と指摘。地区最下位に沈むボストンの名門にとって頼みの綱だった左腕の復帰白紙は、ただの故障情報では済まされない。
レッドソックスは10日終了時点で27勝39敗。ア・リーグ東地区で首位レイズから13・5ゲーム差の最下位に沈み、ワイルドカード争いでも5・5ゲーム差と苦しい。10日(同11日)のレイズ戦も5―7で敗れ、同一カード3連敗。先発陣再建の柱だったクロシェットを欠いたまま黒星が重なれば、8月3日(日本時間4日)のトレード期限を前に「買い手」ではなく「売り手」へかじを切る現実味は増す。
その余波を最も受けかねない一人が、吉田正尚外野手(32)だ。今季は打撃専任に近い形で出場とベンチスタートを繰り返し、打率は2割台前半、1本塁打、10打点と存在感を示し切れていない。2027年まで残る5年総額9000万ドル(約144億5000万円)の大型契約は簡単に動かせず、放出候補として名前がささやかれながらも、契約が足かせとなっているのが実情だ。
チームが浮上を断念すれば、首脳陣は若手起用へさらに傾く。そうなれば、吉田の出番は今以上に細り、ベンチで試合を見守る日が増えても不思議ではない。クロシェットの復帰遅れは投手陣だけの問題ではない。迷走する名門の針路を狂わせ、吉田の立場までじわじわ追い込む重大な火種になっている。












