日本相撲協会は9日、都内で臨時理事会を開き、弟子の幕内伯乃富士(22)に暴力を振るった伊勢ヶ浜親方(34=元横綱照ノ富士)に対して「2階級降格」「報酬減額」(10%3か月)の懲戒処分を決定。伯乃富士も後援者の知人女性の太ももを触るなどの不適切な行為があったとして厳重注意を受けた。ひとまず騒動には区切りがついた格好だが、伯乃富士が所属していた旧宮城野部屋OBは伊勢ヶ浜親方による指導を疑問視。宮城野部屋の再興を求める声が高まっている。

 協会の発表によると、伊勢ヶ浜親方は2月21日未明に弟子や後援者らと都内で会合。伯乃富士が泥酔して後援会の知人女性の太ももを触るなどの不適切な行為を行った。激怒した同親方は拳と平手で1回ずつ、伯乃富士の顔面を殴打。一方で、同親方が暴力を自己申告したことが考慮され、師匠交代や部屋閉鎖などの〝極刑〟は免れた。

9日午後2時過ぎに部屋に戻り頭を下げる伯乃富士(左)と伊勢ヶ浜親方
9日午後2時過ぎに部屋に戻り頭を下げる伯乃富士(左)と伊勢ヶ浜親方

 これで今回の問題は表面上、区切りがついた格好となった。ただ、旧宮城野部屋OBは伊勢ヶ浜親方の指導力を疑問視する。あるOBは「伯乃富士の酒癖が悪いのを知っている上で、師匠が同席して泥酔したことについては師匠の責任。そこのリスクヘッジはできたはず」と指摘。続けて「うちの親方(元横綱の白鵬翔氏)の処分は例外的に厳しかったし、部屋全体の処分でみんな苦しんだ。どういう事態であれ、預けた部屋の師匠が暴力を起こしてしまったら、預かりになっている意味がない」と不満を吐露した。

 旧宮城野部屋では元幕内北青鵬による暴力問題が発覚。当時の師匠だった白鵬氏が監督責任で2階級降格となり、師匠の座を剥奪された。部屋は無期限閉鎖となり、師弟全員が伊勢ヶ浜部屋に転籍。部屋再開の時期を見通せないことから、白鵬氏は昨年6月に角界を去った。

 そうした中、今年の初場所前には伊勢ヶ浜部屋に転籍してきた力士8人が一斉に改名。白鵬氏にゆかりのあるしこ名から伊勢ヶ浜部屋の象徴である「富士」が付けられた名前に変更された。これには前出OBも「部屋の再興という道が残されているのに、リスペクトに欠ける行為」と不信感を口にする。

 その上で「炎鵬が現役を終えた時点で宮城野部屋を復活させて、師匠としてうちの部屋の力士たちを率いてもらいたい」とまで踏み込んだ。白鵬氏の弟子だった炎鵬は3月の春場所で3年ぶりに関取復帰を決めた。これで年寄名跡を取得できる条件の「関取通算30場所」に到達。一方で、白鵬氏から名跡を継承した現宮城野親方(元横綱旭富士)は、旧宮城野部屋の力士が親方になる資格を得た場合、その力士に名跡を譲渡して宮城野部屋復興に協力することを明言しているが…。

 宮城野部屋復活の話は別にして、今回の一件で伊勢ヶ浜親方は師匠としての未熟さを露呈したことは確か。今後、周囲を納得させる指導者となることができるか。