ボストンで、またひとつ〝席替え〟の火種がくすぶり始めた。米メディア「ヘビー」が報じたのは、レッドソックスがドジャースの有望株であるダルトン・ラッシング捕手(25)の獲得候補に浮上しているという点だ。捕手補強論に見えて、その余波は外野陣、ひいては吉田正尚外野手(32)の立場にも及びかねない。

 発端は米メディア「ファンサイデッド」が伝えたトレード候補論だ。ドジャースでは「扇の要」としてウィル・スミス捕手(30)が君臨し、ラッシングは控えにとどまりやすい構図にある。昨季はメジャー53試合で打率2割4厘、4本塁打、24打点と粗さも残したが、捕手兼一塁手としての将来性はなお高く評価されている。層の厚いドジャースが、不足しているポジションの補強材料として動かす――。そんな見方が開幕を目前に控えた今も、MLB関係者の間でも消えていない。

 一方のレッドソックスも、単純に「捕手が足りない」チームではない。だが、外野はジャレン・デュラン外野手(29)、ウィルヤー・アブレイユ外野手(26)、さらに若手の突き上げもあり、起用のやりくりは簡単ではない。だからこそ、もしラッシング獲得のために外野手を差し出すような動きになれば、ロースター全体の再編は一気に加速する。

山本由伸(右)とバッテリーを組むこともあるドジャースの捕手ラッシング(ロイター)
山本由伸(右)とバッテリーを組むこともあるドジャースの捕手ラッシング(ロイター)

 そこで見逃せないのが吉田の現在地だ。打撃技術への評価は依然として高い一方、レッドソックスでは「どこで使うか」という大きな問題がつきまとう。DH枠は休養日との兼ね合いで流動的。外野も飽和気味となれば、吉田は結果だけでなく編成上の都合とも戦わなければならない。一見すると捕手補強の問題と思われがちだが、実際は打線と守備配置のパズル全体を揺らす案件となっている。

 ラッシングは〝将来への投資〟として魅力十分だ。ただ、その一手が仮に成立するならばボストンは誰を残し、誰を動かし、誰の居場所を削るのか。吉田を巡る空気まで変える可能性があるだけに、このうわさは単なる若手捕手の補強論では片づけられない。