世界一3連覇を狙うドジャースに、シーズン前から新たな不安材料が浮上している。本拠地ロサンゼルスを含む米南西部を、3月としては異例の熱波が襲来。屋外球場のドジャー・スタジアムにも「酷暑」と「熱波地獄」の懸念が広がる中、カギを握りそうなのが大谷翔平投手(31)だ。すでにアリゾナの猛暑下で快投を演じた背番号17の〝耐熱力〟は、今季の王者軍団にとって見逃せない強みになりつつある。
米AP通信が警鐘を鳴らした南西部の異常高温は、ドジャースにとって決して対岸の火事ではない。3月の時点でアリゾナ州では華氏110度(約43・3度)、南カリフォルニアでも華氏108度(約42度)級の高温が観測された。単なる「季節外れ」では済まされない。地球温暖化に伴う極端な異常気象が、いよいよメジャーのペナントレースそのものを揺さぶりかねない段階に入ってきたということだ。
とりわけ不気味なのが、ドジャースの本拠地ドジャー・スタジアムが屋外球場である点だ。春先からこれだけの熱波傾向が出ている以上、真夏に向かってロサンゼルスがどこまで灼熱(しゃくねつ)化するのかは、もはや笑い話ではない。現地のMLB関係者の間でも「昼の試合が続けば、ベンチに座っているだけでも体力を削られる」「投手はもちろん、終盤の守備の一歩目や打席での集中力にも確実に響く」と懸念する声が出ている。別の関係者も「今後のドジャースは相手投手だけでなく、暑さそのものと戦う球場になるかもしれない」と危機感を口にしている。
しかも、同じナ・リーグ西地区でも条件は一様ではない。ダイヤモンドバックスの本拠地チェース・フィールドは開閉式屋根を備え、極端な高温への備えがしやすい。一方、ジャイアンツの本拠地サンフランシスコは海風や地理的条件もあり、同じ屋外でもロサンゼルスとは事情が異なる。そうなると、酷暑リスクをまともにかぶりやすいのは、同じく屋外球場を本拠とするドジャース、そしてパドレスという構図が浮かび上がる。3連覇を狙う王者にとって、今年は戦力、故障、日程だけでなく「気候」までが敵に回る可能性がある。
そんな中で、やはり不気味なほど頼もしい材料として浮上するのが大谷だ。18日(日本時間19日)のジャイアンツとのオープン戦では、当日に華氏100度(約37・8度)を超えたアリゾナ州グレンデールの猛暑の中で今春初登板し、4回3分の1を1安打無失点、4奪三振。最速99・9マイル(約160・7キロ)を計測し、球威も制球も大きく乱れなかった。しかもWBC敗退直後の再合流という〝強行軍〟の直後である。普通なら消耗が見えてもおかしくない条件で、むしろ異様なまでの耐久力を見せつけた。
現地でも「あの暑さの中で、あれだけ平然と投げ切れるのは大谷ぐらいだろう」との見方が出ている。ドジャースにとって大谷の価値は、もはや本塁打や奪三振の数字だけでは測れない。灼熱の屋外球場でもパフォーマンスを落としにくい存在は、長いシーズンを勝ち抜く上で極めて大きい。酷暑が常態化すればするほど、大谷の〝暑さも飲み込む強じんな肉体〟は、王者ドジャースにとって最大級の保険になる。
今季のドジャースは、相手球団の包囲網だけを警戒していればいいわけではない。ロサンゼルスの空の下で待ち受ける熱波地獄をどう乗り越えるか。その現実味が増すほど、最後にモノを言うのはスターの格ではなく、極限条件でも壊れない本物の耐久力だ。そう考えると、世界一3連覇のキーマンがモンスター・大谷になるのは、むしろ自然な流れなのかもしれない。












