世紀の大逆転だ。ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケートペアフリーが16日(日本時間17日)に行われ、〝りくりゅう〟こと三浦璃来(24)、木原龍一(33=ともに木下グループ)が世界歴代最高の158・13点をマーク。合計231・24点で金メダルを獲得した。現行の採点方式となった2006年トリノ五輪以降、史上最大の逆転劇となった。2人の拠点・カナダでメンテナンスに携わるマッサージセラピストの青嶋正さんが、秘話を明かした。
約20秒間の熱い抱擁は、最高の演技ができた証しだった。冒頭の3回転ツイストリフトを皮切りに、息の合ったジャンプ、スピンなどで会場を魅了。表彰式で号泣した木原は「(ショートプログラムが)終わった時点で全部終わっちゃったと思っていた。璃来が力強く引っ張ってくれた。諦めなかったことが良かった。日本のペアの先輩に心から感謝したい」と声を震わせた。
SPはリフト技のミスもあり5位発進。SP首位のドイツ組と6・90点差をつけられた。それでも「まだ実感が湧いていない。(SPの)ミスからここまで立て直せて、今までやってきた強さを出すことができた。そこが一番うれしい。いつも引っ張ってくれる(木原)龍一君がずっと泣いていた。今回は私がお姉さんだった」と三浦。強い覚悟で氷上に立ち、SPの失速を巻き返す意地のパフォーマンスを見せた。
伝説の大逆転劇に、元五輪代表で木原とペアを組んだこともあるテレビ中継解説の高橋成美さんは「すごい、すごい、すごい、すごい!」と絶叫。「こんな演技、宇宙一ですよ」と絶賛した。
日本ペア界初の金メダルに輝いた2人は、19年夏にカップルを結成。すぐさまカナダで練習をスタートさせた。腰痛などを抱えてきた木原は青嶋さんのサポートを受けながら、練習や試合に励んだが、ペアならではの難しさもあった。
例えばスロージャンプの際に不必要な力が入れば、ともに無駄な動きを強いられる。木原の腰痛がぶり返す原因を探す上で、三浦は気がついた。「私のコンディションの変化で負担をかけているのでは?」。三浦も一緒に治療を受けるようになり、多様な知見を共有。理にかなった動きを身につけたことで、技術力アップにつながった。
2人の自宅と青嶋さんの治療院は距離があり、毎日の通院は難しかった。そこで青嶋さんは通院のたびに「足首のこの部分が硬いから、こんな感じでほぐしてね」などと助言を送った。
2人はセルフケアのすべも学ぶ中で、言語化能力も高まった。ジャンプの成否について細かい分析が可能となり、今大会の快挙につながった。地獄からはい上がった最強カップルの物語は、永遠に語り継がれていく。












