偉業達成なるか。大相撲初場所千秋楽(25日、東京・両国国技館)、新大関安青錦(21=安治川)が幕内熱海富士(23=伊勢ヶ浜)との決定戦を制して2場所連続2回目の優勝を果たした。次の春場所(3月8日初日、大阪府立体育会館)では、綱取りに初挑戦。大関を最短の2場所で通過すれば、昭和以降で3人目の快挙となる。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(41=本紙評論家)が、安青錦の〝最速綱取り〟の可能性を占った。

 新大関の安青錦が、早くも綱取りへの挑戦権を手に入れた。本割では大関琴桜(28=佐渡ヶ嶽)を力強く寄り切って快勝。先に12勝目を挙げていた熱海富士と星で並んだ。続く決定戦では身長で5センチ、体重は55キロも上回る熱海富士に土俵際まで寄られたが、首投げで相手の巨体を裏返し。2場所連続2回目の優勝を果たした。

 この日の安青錦の相撲内容について、秀ノ山親方は「14日目(24日)の大の里戦は横に変わる動きで圧力負け。この日の本割と決定戦では、その反省が生かされていた。しっかりと低い角度から踏み込めば、圧力をかけられても下から相手を起こすことができる。決定戦も下からの攻めで相手の力をそいでいる分、最後に首投げで逆転する余地が生まれた。自分の相撲を取り切る覚悟が結果に出た」と分析する。

 今場所全体を通しても「新大関となって日々の生活が多忙になっても、最後まで集中力が途切れなかった。勝っても負けてもポーカーフェースを貫いて、淡々と目の前の相撲に向き合っていた姿が印象的。改めてメンタルの強さを感じた。豊昇龍と大の里の両横綱が崩れる中で、連敗せずに白星を重ねていく戦いぶりには安定感があった」と高く評価した。

安治川親方(右)と歓喜のハグもみせた安青錦
安治川親方(右)と歓喜のハグもみせた安青錦

 新大関の優勝は2006年夏場所の白鵬以来、20年ぶり。新関脇、新大関での連続優勝は1937年春場所の双葉山以来、実に89年ぶりの快挙だ。次の春場所では綱取りに初挑戦。大関を2場所で通過すれば、昭和以降で双葉山、照国に続く3人目の偉業達成となる。審判部長の高田川親方(元関脇安芸乃島)は「来場所が楽しみ」と期待を寄せた。

 安青錦が来場所で〝最速綱取り〟を果たす可能性はあるのか。秀ノ山親方は「自分の形があるのが最大の強み。体幹と馬力の強さが、常に低い重心で攻める相撲を可能にしている。立ち合いから勝負を決めるまでの組み立て方も上手。心技体が揃っている力士」と安青錦の総合力の高さを指摘。その上で「すでに横綱になる力は十分にある。来場所も優勝する可能性はあると思う」と太鼓判を押した。

 安青錦は表彰式の優勝力士インタビューで「すごくうれしいです。(新大関となり)今場所の立場は違ったので。今まで味わったことがない、違う緊張感もあった。その中で優勝できてよかった」と喜びもひとしお。綱取りに挑む春場所に向けては「今場所に負けないような成績を出せるように頑張ります」と力強く宣言した。

 ウクライナの若き横綱候補は、このまま一気に番付の頂点まで駆け上がるのか。その動向から目が離せない。