元大関の現在地は? 大相撲初場所11日目(21日、東京・両国国技館)、幕内朝乃山(31=高砂)が幕内平戸海(25=境川)を寄り切って8勝目(3敗)。約2年ぶりに幕内での勝ち越しを決めた。左ヒザの大ケガで三段目まで転落しながら、不屈の精神で最高峰の舞台に復帰。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(41=本紙評論家)が、朝乃山の現状を徹底分析した。
朝乃山が幕内では2024年春場所以来となる勝ち越しを決めた。右をねじ込み、かいなを返して相手の上手を切る。左の上手でまわしを引きつけ、胸を合わせながら力強く寄り切った。取組後は「喜ぶのは場所が終わってから。下に落ちていた時間を無駄にしないように。一日一番、自分の相撲を取っていきたい」。白星の余韻に浸らず、次の勝負に目を向けた。
秀ノ山親方は、朝乃山の相撲について「うるさい相手に、受けるのではなく自分から踏み込んで圧力を伝えていた。右四つで前に出て、土俵際もしっかり腰が下りている。自分の相撲に自信を持って取っている印象。力そのものは大関時代に及ばないかもしれないが、ケガを経験したことで前に出る意識は以前よりも強くなったのでは。それが今の結果につながっている」と分析する。
一昨年名古屋場所で左ヒザ前十字靱帯を断裂。手術と長期休場を余儀なくされ、幕内から三段目まで転落した。秀ノ山親方は「あの大ケガをした取組は、私も審判で見ていた。あの倒れ方、崩れ方を見て『やってしまった。力士生命が…』と本気で心配したことを覚えている。一から鍛え直して、ここまで戻ってくる精神力は本当に素晴らしい」と不屈のメンタルに感服した。
朝乃山にとって、この日の勝ち越しは通過点にすぎない。首位を1差で追走し、2度目の優勝は射程内。今年中の三役復帰も見据えている。秀ノ山親方は「ここまではい上がってくるまでに、血のにじむような努力があったはず。その覚悟があれば、まだまだ成長できるし、結果も残せる」と期待。優勝や三役返り咲きの可能性についても「全然、あると思う」と太鼓判を押した。
満員御礼が連日続く館内で、朝乃山に送られる拍手や声援の大きさは幕内でもトップクラス。元大関が、再び土俵の〝主役〟を務める可能性もありそうだ。













