神隠し…それは何の前触れもなく人が消息を絶ってしまうことを言う。

 昔から日本では山中や森は神の領域とされ、そのような場所で行方不明になった人は神隠しにあったのだろうと言われてきた。

 人さらいや殺人事件、自らの意思での失踪なども、周囲の人たちにとって原因が分からない場合には、神隠しとして処理してしまった事例もきっとあるだろう。

 世に言う未解決事件の中にも、特に争った様子もなく人が消えてしまったものがある。

 2001年に広島県で起きた一家失踪事件では、一家4人とペットの犬が、ある日、突然いなくなってしまった。

 直前まで生活していた形跡があり、朝食の準備がされていたのだが、一家は1年後に遺体となって発見された。

 近くのダムに水没していた車の中で死んでいたのである。

 05年には香川県で山にタケノコ掘りに来ていた女の子が、周囲にたくさん人がいる中、母親がちょっと目を離した合間に消えてしまい、いまだに見つかっていない事件もある。

 警察犬でも追跡できなかったのだ。

 このように神隠しには様々な原因があると推測されるのだが、パラレルワールドとでも言うのだろうか、日常とちょっと違う、何か違和感を覚える空間に紛れ込んでしまうパターンもあるのだ。

 最近では普段の生活とは少し違う奇妙な世界に舞い込んでしまったという話が、本人によってインターネット上に報告されることが多々ある。

 そこで遭遇できる「時空のおっさん」という不思議な生命体をご存じだろうか。

 05年、匿名掲示板に書き込まれた「異界訪問」のリポートには、とある大学生が講義に出たときに起きたと記されている。それは——。

 大学には人がおらず、あるはずの講義にも誰もいない。おかしいと思ったその大学生は教室を出ようとすると、ケータイが鳴り、出てみると相手はおっさんだった。

「お前、なんでここにいるんだ!」

 おっさんはそう言って、大学生は気がつくと普段の生活に戻っていたのだという。

 その大学生はおっさんの容姿などを覚えていないらしいのだが、「おっさん」であったことだけははっきりと記憶に残っているのだとか。

 13年にあった報告では、友人と3人でドライブに出た学生が和歌山県あたりでトンネルに入った瞬間に悪寒がしたのだそうだ。

 トンネルを抜けるとすぐに悪寒は消えたのだが、どうも周囲の様子がおかしい。

 のどが渇いたのでコンビニか自動販売機を探すも見当たらず、人の気配もない。

 すると50メートルほど先の暗がりにおっさんが立っていた。

 こちらの存在に気づくと近づいてくるので、怖くなって車に乗って逃げようとしたら、おっさんは小走りになった。

 車に乗って、しばらく逃げ回るとさっきのトンネルを見つけ、いつもの世界に戻ることができた。

 時空のおっさんは違う次元に紛れ込んだ存在を助けてくれているのではないかと考えられるが、中には〝紛れ込んだ存在〟を認識すると怒り出すおっさんもいる。

 ひょっとしたら時間や空間に間違いが起きた時に、そのゆがみを修正する職務のような役割を持っているのかもしれない。

 子供のころ、夜遅くに外を歩いていると「早く家に帰りなさい!」と叱ってくれる町内のおっさんのような…。

 むろん、優しい時空のおっさんもいるのだが、どこか人間味を感じさせるのがおっさんと言われるゆえんかもしれない。

 また、12年に中国でトラックと接触したはずの自転車に乗った男性が、光とともに消え、一瞬で安全な場所に移動している映像が道路の監視カメラによって撮影された。

 この発光体は人間の形状をしていて、自転車の男性を抱きかかえるように運び、そそくさと消えてしまう。

 人間を助ける存在であり、我々の常識から考えると時間や空間を無視する能力を有する…。そう考えると、この発光体も時空のおっさんの一種とも推測できる。

 もし、瞬間移動する発光体の映像が本物であるのならば、人類を救ってくれる理由を尋ねてみたいものである。