〝生みの親〟の胸中は? 大相撲初場所5日目(15日、東京・両国国技館)、横綱豊昇龍(26=立浪)が幕内若隆景(31=荒汐)を力強く寄り切って快勝。4勝1敗で序盤を終えた取組後は「しっかり次の相撲に集中して取っていきたい」と気を引き締めた。昨年初場所で優勝し、横綱に昇進。それ以降は賜杯を抱かないまま、1年が過ぎようとしている。

 この日は横綱審議委員会(横審)の前委員長で、豊昇龍を横綱に推薦した山内昌之氏(東大名誉教授)が国技館で観戦。当時の横審トップの目に、今の豊昇龍の姿はどう映っているのか。山内氏は「心配しています。気がかりですよ。もちろん、早く優勝してほしい」と胸の内を明かす。

「彼は体格的には秀でたものがないんですよね。それを稽古と運動神経の鋭さでカバーしてきた。普段の稽古からまじめで、若い力士に目配せして指導もできる。相撲界への貢献度が高い力士。横綱にして良かったと思う」と強調する一方で「(結果最優先で)立ち合いや技が小さくなってもらっては困る。スケールの大きな相撲を見せてほしい」と注文をつけた。

 山内氏は昨年初場所を最後に横審委員を退任。その後も本場所に足を運んで観戦し、豊昇龍とも何度か顔を合わせたという。「(豊昇龍は)〝ダメでした〟とか言うんだけど(自身は)悪いことは言わずに、良かったところを言うようにしている」と親心をのぞかせた。豊昇龍は、恩返しを果たすことができるか。