大相撲の新たな一年が初場所(11日初日、東京・両国国技館)で幕を開ける。昨年は豊昇龍(26=立浪)と大の里(25=二所ノ関)が横綱となり、安青錦(21=安治川)が大関昇進を果たした。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(41=本紙評論家)による連載「がぶりトーク」では、2026年に誕生する横綱大関をズバリ予想。土俵の覇権争いを展望した。

【秀ノ山親方・がぶりトーク】読者のみなさん、こんにちは! 大相撲の新しい一年が、いよいよ始まります。昨年は初場所後に豊昇龍、夏場所後に大の里が横綱に昇進し、九州場所後には安青錦が新大関になりました。数年前は誰が優勝するのか分からない戦国時代のような時期もあったけれど、世代交代が進んで2横綱2大関の時代になった。番付に秩序が戻りつつあると感じています。

 一方で、今年も新たな横綱や大関が誕生する余地は十分にある。中でも、横綱に最も近い存在と言えるのが安青錦です。前傾姿勢を崩さず、低い重心で下から攻める相撲が持ち味。はっきりとした「形」があることは、それだけで大きな強みになる。自分の形になるまで攻め急がずに我慢できるから、取りこぼしも少ない。昨年1年間の安定した成績が、そのことを証明しています。

昨年の初優勝で、一気に横綱候補となった安青錦(右)
昨年の初優勝で、一気に横綱候補となった安青錦(右)

 安青錦は常に前に出る相撲で後ろに下がることがないから、ケガもしにくい。これまで横綱や大関の候補はたくさんいたけれど、実力がありながら故障で涙をのんだ力士は少なくありません。上の番付を目指す上で、ケガをしないことも大事な要素の一つ。その意味でも、安青錦が横綱に上がる可能性は高いとみています。

じわじわと実力をつけてきた義ノ富士
じわじわと実力をつけてきた義ノ富士

 大関候補として真っ先に名前が思い浮かぶのは義ノ富士です。スピードがあって馬力もあるし、きっぷのいい相撲は見ていて気持ちがいい。昨年は新入幕の名古屋場所で優勝争いに加わると、九州場所では大の里を破って初金星を挙げました。初場所は西前頭筆頭で新三役も目前。上位の圧力にさらに慣れてくれば、今年中に大関に上がっていても不思議ではありません。

地力は証明済みの霧島
地力は証明済みの霧島

 それから、霧島にも大関に復帰するチャンスがある。ケガで大関から陥落したけれど、ここへきて本来の相撲を取り戻しつつある印象です。もともと前さばきがうまく、相手に力を出させない巧みさは幕内屈指。体調さえ万全なら、実力的に今の大関陣にも引けは取らない。持ち前の粘り強い攻めを発揮できれば、大関への返り咲きも十分に狙えると思います。

 もちろん、今の両横綱も下克上はさせまいと思っているはず。先場所は豊昇龍が安青錦に本割、決定戦と2番負けて優勝を逃している。大の里も左肩を負傷し、優勝の可能性があった千秋楽は休場を余儀なくされました。2人とも相当悔しい思いをしただろうし、ここからが意地の見せどころ。上を目指す力士たちとの対戦にも注目です。

 今回のテーマからは外れますが、幕内上位以外にも若手ホープの藤ノ川や大関経験者で再入幕した朝乃山など、楽しみな顔ぶれが並んでいます。今年も力士たちには、大いに土俵を盛り上げてもらいたいですね。それではまた!