二刀流の快挙だ。レスリングの全日本選手権(東京スポーツ新聞格技振興財団協賛)3日目(20日、東京・駒沢体育館)、男子フリースタイル70キロ級決勝で成國大志(28=筒井メディカルグループ)が、冨山悠真(山梨学院大学)を破り優勝。今大会では男子グレコローマン72キロ級も制しており、同一年の全日本選手権で両スタイルを制したのは、1973年の吉田光雄以来52年ぶりとなった。

 専大所属だった「吉田光雄」とはミュンヘン五輪代表で74年に新日本プロレス入りし、IWGPヘビー級王座を3度獲得した名レスラーで〝革命戦士〟こと長州力のこと。長州以来の偉業を成し遂げた2022年のフリー70キロ級世界王者は「きつかったです」と思わずこぼし「これだけのチャンスはないかもしれない。一度きりのチャンスだった。ホッとしています」と安堵の表情。「52年ぶりの快挙」に合わせ、自ら指で「52」をさして喜んだ。

 フリーは相手の体全体への攻撃が可能だが、グレコは上半身のみ。トレーニングも調整も異なるが「周りの人からどちらかに専念しなさいとずっと言われてきた中で、自分の中では『見返してやりたい』という気持ちがあった。両方できるんだって見せたかった」と言い、グレコ4、フリー4の計8試合を戦い切った。

「自分の中ではグレコで一番になること」とフリーに続くグレコでの世界一を目標としつつ「ルール的にもOKなのかわからないが、両方出られるなら両方出たい気持ちはある」と〝二刀流〟での世界一挑戦にも意欲を示した。これに日本レスリング協会の井上謙二強化本部長は取材に「本人と所属の意向がそうであれば、可能性はあります。ルール的には問題ない」と、異例の挑戦を認める方針を明かした。

 母親は元世界選手権女王の成國晶子さん。その先にロサンゼルス五輪を見据えるサラブレットは、レスリングの歴史に大きな足跡を刻んだ。