〝戦う哲学者〟が読書パワーで世界取る!? ボクシングWBA世界バンタム級王座決定戦(20日、両国国技館)で同級2位・比嘉大吾(30=志成)と対戦する同級1位・増田陸(28=帝拳)が7日、都内で公開練習を行った。増田は、過去に読んだ医学者の養老孟司氏と作曲家の久石譲氏の対談集「脳は耳で感動する」から学びを得て、勝利に自信を示した。

 初めてつかんだ世界戦のチャンスで、15連続KO勝利の日本記録を持つ強打の比嘉と拳を交える増田。「一発のある選手なので、そこをもらわないディフェンスの意識は練習でも取り組んでいます」と強打対策に抜かりはなく「自然な形でKOにつなげたい」と意気込んだ。

 数日前にはSNS上で「TVや配信での観戦とはひと味もふた味も違う」「体を使って五感で感じてほしいです」など、現地観戦の意義を説く投稿をしていた。そのきっかけが、脳と音楽の完成性などを解説した同書だったという。

 実は月に本を10冊ほど読む読書家。山登り系やノンフィクションなどが好み。養老氏の著作もよく読むといい、同書で役立ったことをたずねると「自分の場合、試合でめちゃくちゃ集中しているからか、有益な情報しか聞こえてこない。耳が聞き分けているんですよ。面白い」と説明した。

 そして、この日は七夕。報道陣から短冊に願い事を書くなら何かと質問されると「世界が平和になってほしい」と返答。「平和がないとボクシングなんかできるものじゃないと思って。いま戦争してる国もあるわけですし、純粋な思いです」と理由を語った。

 練習では得意の左ストレートを入念に確認するように繰り出しながら、シャドー、ミット打ち、サンドバッグ打ちを披露。視察した比嘉陣営の野木丈司トレーナーは「決め手を生むような体幹の強さを感じた」などと感心し、増田の思慮深い発言も「考え方が独特で哲学的な感じもする。自然を好むことや、世界平和と言っていたような珍しい精神性。好きなタイプです」と好感した。

 ユーモラスで明るい性格に見える比嘉とは対照的に思えるが、野木トレーナーは「比嘉はああいう風に見えて深いところもある。人を楽しませるのが割と好きな方ではないかなと思う」と語り「だから、きっとそういう試合、ボクシングをするんじゃないですか」と期待した。

 五感に響く熱い戦いを見せられるか。