ボクシングWBC世界バンタム級王座決定戦で、那須川天心(27=帝拳)を破った井上拓真(29=大橋)の一夜明け会見が25日、横浜市内で開かれた。世界スーパーバンタム級4団体統一王者の兄・尚弥(大橋)に続く4団体統一の目標を改めて掲げる一方、試合後に那須川から「蹴ってもいいですか」と言われたことを明かした。

 前日は序盤に距離を支配されながらも圧力を強めて逆転し、キックボクシングと格闘技で47戦、ボクシング転向後7戦全勝の那須川に初黒星を付けて3度目の世界王座奪取を果たした拓真。この日は朝のテレビ番組に生出演したこともあって一睡もしなかったというが、ダメージを感じさせない元気そうな表情で現れ「返り咲いたというより、強敵である天心選手に勝てたことが一番ホッとします」と前日と同じ言葉で喜びを語った。

 勝因については「3ラウンドから作戦を変えていけた。練習したことをそのまま出せたし、気持ちの面でも今までで一番出ていた」と分析。戦前は不利と予想されるなど人気者の那須川に主役を奪われた形であったが、「燃えるものもありますし、まあ見とけよっていう感じになるので、そういうのは結構好きです」とモチベーションに変えていた。

 那須川の存在については「格闘技から無敗でずっときて、自分はボクシングを守ると、周りのファンがそう仕立てているのかなっていうのは感じた。そこにいろいろプレッシャーもありましたけど、本当に申し分ない相手でした」と振り返る。また、試合後のリング上では那須川から「一発蹴っていいですか」と言われ「それだけは勘弁して」と返したことを明かした。

 所属ジムの大橋秀行会長によると今後は未定で、拓真と那須川に次ぐWBC同級3位フアン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)との指名試合が指令されれば「しょうがない」という。だが、2024年10月に拓真からWBA同級王座を奪取した堤聖也(角海老宝石)、5階級制覇を目指して転級を表明した井岡一翔(志成)ら日本の有力選手がひしめく階級であり「堤選手への雪辱もそうだし、井岡選手も上がってくるので面白い」との選択肢を示した。

 拓真は「相手が誰であろうと、また強い井上拓真を作り上げるだけ」と相手は問わない考えだが、井岡戦については「モチベーションもめちゃくちゃ上がる」と歓迎。以前から掲げていた尚弥との兄弟4団体統一王者について「そこの目標は変わっていない」と改めて宣言した。