角界の新たなスター候補が、強烈なインパクトを残した。大相撲九州場所10日目(18日、福岡国際センター)、幕内義ノ富士(24=伊勢ヶ浜)が、横綱大の里(25=二所ノ関)を一方的に押し出して快勝した。そんな大器は伸びしろたっぷり。名伯楽が指摘する課題を克服すれば、さらなる快進撃もありそうだ。
初顔合わせの横綱から初金星を獲得した。取組後は「自分の相撲が取れて、結果が金星になってよかったです。勝った後の歓声がすごかった。やったぞという感じ」とかみしめた。
熊本・宇土市出身。父の草野信一さんは元競輪選手で、親族からもプロを多数輩出する競輪一族に生まれた。日大で学生横綱のタイトルを獲得した大器は、昨年夏場所で幕下最下位格付け出しデビュー。今年の名古屋場所で新入幕を果たすと、いきなり優勝争いに加わった。今場所は自己最高位の東前頭5枚目。学生時代に倒した経験もある1学年上の大の里を、プロの土俵でも撃破した。
初土俵から10場所目。まだ大銀杏(おおいちょう)を結うことができず、ちょんまげ姿で土俵に上がっている。大の里と比較して相撲が未完成である点も、むしろ魅力の一つ。今後の伸びしろの大きさを感じさせる。入門時の師匠である宮城野親方(元横綱旭富士)は、義ノ富士について次のように指摘した。
「どちらかと言うと、もろ差し狙い。そればっかり狙ってやってるから。もろ差しになった時はいいけれど、ならなかった時には動きが止まっちゃうからね。何でもかんでも、自分が狙った形になれるわけじゃない。ならなかった時の対処、組み立てができてない。そこを、これからできるようにならないと」
同親方は師匠として日馬富士、照ノ富士(現伊勢ヶ浜親方)の横綱2人を育て上げた。〝名伯楽〟が提示する課題を克服できれば、いずれは看板力士へと成長する可能性を秘めている。
7勝目を挙げて勝ち越しに王手をかけた義ノ富士は「また明日から自分の相撲を取って、勝てるようにしたい」。終盤5日間の戦いにも注目だ。












