前途多難だ。大相撲秋場所4日目(16日、東京・両国国技館)、横綱大の里(26=二所ノ関)が幕内高安(36=田子ノ浦)に突き倒されて初黒星。引く悪癖を露呈し、序盤で早くも土がついた。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(42=本紙評論家)は、大の里の敗因を分析。快進撃で番付の頂点へ駆け上がった昨年と比較した上で「まだ本来の調子を取り戻せていない」と指摘した。

 大の里に早くも土がついた。立ち合いで高安に当たり負けすると、後ろに引く悪癖を露呈。懸命に回り込もうとするも押し込まれ、最後はジャンプしながら土俵下へ転落した。横綱在位8場所で14個目の金星配給。取組後は「ああいう形(下がる相撲)になってしまった。また気持ちをつくって、前に出る意識を持ってやっていきます」と自らに言い聞かせるように話した。
 
 この日の相撲内容について、秀ノ山親方は「大の里は上体の高さが目立つ。力強い立ち合いをしているように見えるけれど、上体が起きて攻める形になり切れていないから足が前に運べず、相手に押し込まれている。当たりがいくら強くても腰高で当たるポイントが高くなれば、高安の方が下からはね上げている分だけ威力に勝る」と分析する。

 その上で「踏み込んでいっぺんに前へ持っていける時はいいが、立ち合い負けしたり相手との間に距離ができると、慌てて引いてしまう癖がある。当然、相手も研究してそこを狙ってきている。横綱に上がってくるころは差すまで我慢したり、どっしりと落ち着いて相撲が取れていた。今は勝ち急いで、結果的に相撲が軽くなってしまっている」と指摘した。

 7月の名古屋場所は左肩の故障明けで臨み、3場所ぶりに15日間を皆勤。しかし、優勝争いには絡むことができず、9勝6敗と不本意な成績に終わった。今場所は横綱豊昇龍(立浪)が休場で不在。大の里は一人横綱として優勝争いに加わることが最低限の務めとなる。ただ、秀ノ山親方は目先の勝ち負けよりも、本来の相撲を取り戻すことが重要だと強調する。

「ここまでの相撲を見る限り、まだ本来の調子を取り戻せていない印象。本場所では相手が稽古場以上の圧力で立ち向かってくる。その中で微調整を繰り返しながら、どこまで良かったころの感覚を戻せるか。最後まで取り切って、復活の手応えをつかんでほしいですね」と力説した。

 現役最多の優勝5回を誇る〝最強力士〟は、不振のトンネルから抜け出すことができるのか。横綱としての真価が問われる場所となりそうだ。