名古屋市内の徳川美術館は22日、14代将軍徳川家茂が指料(腰に差していた刀)としていた脇指を発見し、来月15日より一般公開を行うと発表した。

 見つかった刀剣の正式名称は「脇指 銘 来国光 附 梨子地青貝亀甲文散脇指拵・桑木地葵紋付刀掛(わきざし めい らいくにみつ つけたり なしじあおがいきっこうもんちらしわきざしこしらえ・くわきじあおいもんつきかたなかけ)」。徳川美術館・高橋哲也学芸部係長は「来国光は時代としては鎌倉時代の末期から南北朝時代の中期にかけての作者」といい、鎌倉時代(14世紀)の作とされる。

 尾張徳川家旧臣である鈴木信吉が昭和13年に徳川宗家より譲りうけ、昨年3月に神奈川県で発見されたが、残された史料からは2つの極めて貴重な歴史的価値が浮かんできた。

 1つは家茂がこの脇指を常用・愛用していた点。家茂の時代は「徳川の平和」が続いており、名刀は大切に保管され、儀礼などの場で道具として使われるのが常だった。しかし家茂は替拵(かえごしらえ・外装の替え)や刀身を収め保管する白鞘も作っており「家茂が普段から使い、愛用していた点がうかがえます」と高橋氏は解説する。

 2つめは家茂が刀剣に強いこだわりを持っていたと推測できる点だ。例えば10代将軍家治の刀剣は、金15枚(150両)以下と評価額が低いものが大半だった。しかしこの脇指は金200枚(2000両)の高評価額であり、家茂の刀剣好きな面が伺える。

 高橋氏は「ここ40年ほど新しく国宝や重要文化財に指定された刀剣はありません。簡単には認められるものではないですが、将来的に研究が進めば」と話し、今後重要性がさらに高まる可能性について触れた。

 脇指は11月15日からの企画展「尾張家臣団」で展示される。また同日より開館90周年記念特別展「国宝 源氏物語絵巻」も開催される。