ブラジル撃破が世界一への道しるべとなるか。日本代表は14日の国際親善試合ブラジル戦(味スタ)で3―2と逆転勝ちし、対戦14試合目にして初勝利を挙げた。目標に掲げる来年の北中米W杯優勝へ弾みのつく快挙となったが、1996年アトランタ五輪で王国に勝利して「マイアミの奇跡」をけん引した元日本代表MF前園真聖氏(51=本紙評論家)が今回の勝利を検証。W杯制覇へどのように生かしていくべきかを提言した。

 ブラジル戦の日本は守備的にプレーした前半に2点を先制されるも、後半は前からプレスにいく戦術に切り替えて一変。MF南野拓実(モナコ)が相手のミスをついて攻撃の口火を切るゴールを決めると、MF中村敬斗(スタッド・ランス)、FW上田綺世(フェイエノールト)が得点を挙げ、日本サッカー界に新たな歴史がつくられた。

 強豪相手に前半劣勢からの逆転勝ちといえば、2022年カタールW杯のドイツ&スペイン戦をほうふつとさせる。ブラジル戦後、10番を背負うMF堂安律(Eフランクフルト)は前半の2失点を反省しつつ、後半の戦いについて「僕たちは冗談で〝戦術カタール〟と言っている」と語っていた。前半耐えて後半にスイッチを入れる戦い方は、チームのおはこと共通認識になっている。

 そんな歴史的勝利に前園氏は「素晴らしい結果でした。あの展開からよく勝ちました」とイレブンの激闘をたたえる。マイアミの奇跡で原動力となった立場から「僕らのときは攻めたくても攻められない、もどかしさがありながら戦い抜いた感じでした。格上に対して、そういうサッカーしかできない悔しさはありました」と日本サッカーの確かな進化を実感している。

 その一方で高い目標達成に向けては、あえて厳しい現実を指摘した。「W杯でベスト8以上を目指すのであれば、前半の戦い方をしていては無理だということがわかったと思います。前半に関しては5バックにして自陣でほぼ守っていましたよね。でも2点取られています。後半は開き直って前からいって勝ちましたけど、前半に引いて守るサッカーをするようでは、本番でブラジル相当のチームには勝てないということです」

 では、どのような方向性を目指すべきなのか。「ブラジル戦のような戦い方は、すでにカタールW杯でやっています。当時なら、あのサッカーしか勝機がなかったのかもしれません。あれから年数がたち、守備をしつつ前半は下がるのではなく、後半みたいなやり方をしていくべきです。やはりボールを持って主導権を握らないと、勝つチャンスは増えていきません」と力説した。

 もちろん、前半から飛ばし過ぎると体力的にも厳しくなり、後半の〝ガス欠〟が懸念される。だが、あくまでW杯制覇という目標がある限り、越えるべきハードルというわけだ。一人ひとりの体力強化はもちろん、選手層を厚くすることで克服していくしかない。前園氏は「90分通してはキツいかもしれませんが、今のメンバーならできると思います。そう考えると、ベスト8以上もいけるはずです」と大きな期待を寄せた。

 森保ジャパンの成長が加速しているからこそ、より高いレベルでの提言。ブラジル戦で浮き彫りになった〝脱戦術カタール〟の必要性。森保ジャパンは本番までにこの課題を克服し、世界一へと到達できるか。