ミャンマーにある特殊詐欺拠点から特殊詐欺電話の「かけ子」をしたとして検挙された少年(16)を現地の詐欺グループに紹介したとして、愛知県警は29日、職業安定法違反(有害業務目的紹介)の疑いで福岡県八女市の無職松本枝実子容疑者(35)を逮捕した。警察は捜査に支障があるとして、認否を明らかにしていない。

 逮捕容疑は、氏名不詳者らと共謀し、昨年11~12月、「リクルーター」として、少年を中部空港(愛知県常滑市)からタイへ渡航させて、現地の特殊詐欺グループに紹介した疑い。

 少年は現地で1日10時間ほど、日本へ特殊詐欺電話をかけていたとみられる。今年2月、ミャンマーとの国境付近でタイ当局に保護されて帰国。愛知県警が詐欺容疑で2度逮捕し、名古屋家裁が7月、初等・中等(第1種)少年院送致とする保護処分を決定した。

 ミャンマーは2021年にミャンマー国軍がクーデターを起こした後、国内情勢が不安定となり、約130の少数民族の武装勢力がそれぞれ支配地域を維持し、ミャンマー国軍の手が及ばない状態だ。タイに近いミャンマーの国境地帯では、その武装勢力と手を結んだ中国系、日本系などの特殊詐欺グループがいくつも存在し、カジノリゾートの跡地などに〝特殊詐欺タウン〟を築いた。特殊詐欺グループは、中国人、タイ人、インド人、インドネシア人、フィリピン人、日本人など、30以上の国から、数百人から数千人も監禁し、それぞれの国に特殊詐欺を行わせていたとみられる。

 これまでの他のリクルーターの逮捕者の裁判などで、リクルーターたちは、オンラインゲームで少年たちと知り合い、相談に乗るなどして手なずけ、「衣食住の面倒をみる」「稼げる仕事がある」「タイに来れば」などとタイに誘いこんだことが分かっている。

 詐欺事情通は「ミャンマーの特殊詐欺グループは、ターゲットを観光国として安全そうなタイに誘いこみ、そこから川一本隔てたミャンマーに誘拐・監禁し、特殊詐欺をやらせていた。指示役の下にいるリクルーターが実行役を集めるなど、闇バイト事件と同じ構造となっており、今後は指示役、黒幕の解明が進められています」と指摘する。

 警察の捜査はどこまで及ぶのか。