東欧のアルバニアで世界初となる人工知能(AI)で生成した架空の人物によるAI閣僚が誕生し、世界中に衝撃を与えている。急速なAIの進歩と普及で、政治や行政の場でも大きな変革の時を迎えようとしている。

 アルバニアのラマ政権でAI担当の大臣に任命された「ディエラ」は太陽を意味する。アルバニアの伝統衣装をまとった女性が人物アバターとして、使用されている。公共入札で不正が横行する同国で、ディエラAI担当相には監督する役割を与えられた。ラマ首相は「入札手続きを経た公的資金は完全に透明化される。100%腐敗のない国になる」と自信をのぞかせた。

 

「AI閣僚が誕生したことは、政治の新たな可能性を示す画期的な出来事」と歓迎したのは、日本でいち早くAI首長に名乗りを上げていたAIメイヤー氏だ。2018年の東京・多摩市長選を皮切りに、昨年の都知事選や衆院選で「AIを導入すれば、公明正大な政治ができる」と訴えてきた。

「重要なのは、AIそのものが政治を動かすわけではないという点です。要は『プロンプト』。すなわちAIに何を問いかけ、どのような役割を与えるか。プロンプト次第でまったく異なるリーダー像を描きます。どのような人格を持たせるか、どんな政策、理念を組み込むかによって、政治的意思や行動は大きく変わる」(AIメイヤー氏)

 ディエラAI担当相にどのようにプロンプトが設定されているかは不明で、野党議員からはAI閣僚の正当性を疑問視する声も出ているが、ラマ政権側の意向を組み込まれているとみられる。

 AIメイヤー氏は「AI閣僚の登場は、私たち自身がどのような未来を描きたいのかを改めて問う契機となっている。AI閣僚が広く活用される未来では、選挙や政治の議論の焦点も変わるでしょう。ディエラAI担当相に対し、どのような人格設計や政策方針のプロンプトを与えるか。有権者が議論、選択すべき新たな民主的プロセスになる」と注目している。