【レジェンド雀士からの金言】たとえ劣勢な状況に置かれても、しぶとく復活してくることから「マムシの沢崎」という異名を取る日本プロ麻雀連盟3期生・沢崎誠(70)の後編。MリーグではKADOKAWAサクラナイツに3年間所属。2021―22シーズンはMVP争いを繰り広げ、チーム初優勝の原動力となった沢崎に、チーム内でやってきたこと、闘病中に思っていたこと、後進へのメッセージを聞いた。
2019年、当時64歳だった沢崎はKADOKAWAサクラナイツからドラフト指名を受け、在籍した3年間はすべてファイナルステージに進出した。
「監督に任されたわけではないけれど、内川幸太郎と岡田紗佳を育てるのは私の役割だなと思っていました。チームが勝たなければ、一番最初にクビを切られるのは私に決まってますから、2人を育てることは、私にとっては必要な条件だったわけです。そのためには2人の意識を変えていく必要がありました。意識が変われば麻雀も変わってくるからです。そうすると何も言わなくても本人が成長していきます。麻雀卓で一緒に打って教える必要はなく、居酒屋で2時間ほど話をするだけなので時間もかからない。ただ人それぞれ個性があるので、その人の本質的な深い部分を見た上で、そこに合ったアドバイスをする必要はありますけどね」
しかし、KADOKAWAサクラナイツが優勝した翌シーズン、健康上の理由から沢崎はチームを離れることになった。
「持病である甲状腺機能障害の担当医から、がんになったかもしれませんといきなり言われたんです。えっ!?と思いましたが、専門の病院で検査を受けたら原発性骨髄線維症という難病であると診断されました。若い時から悔いを残さないよう一生懸命やってきたから、ぽっくりいってもしょうがない。なるようになれという感じでしたが、先生の助言がなければ、すでにこの世にいなかったと思うので感謝の気持ちでいっぱいですね」。自団体の最高峰リーグは1年間休場し、22年から復帰した。
古希を迎え、後進の麻雀プロに伝えたいことがある。「若いプロたちには力をつけて所属リーグで昇級していってほしいし、映像対局に出る人にはもうちょっと刺激のある麻雀を打ってほしい。何よりプロである以上、アマチュアのお手本になるプロになってほしいですね。そのためには常にテーマを持った練習を地道に積み重ねていくしかありません。テーマを持たず、単に麻雀を打っているだけでは本当の力は身につきません。難しいことやスーパープレーはいらないので、1日半荘2回、テーマを決めて半年間、毎日打ち続ければ必ず強くなれます」
沢崎自身が練習してきたテーマは大小100以上あるという。「これまで40年間、攻撃と守備それぞれでテーマを決めて集中的に練習してきました。この半荘は仕掛けないとテーマを決めたら、たとえ字一色の可能性があったとしても、2枚目の字牌が出たとしても鳴かず、自力でツモることを徹底する。自分との約束を守ることは、自分への信頼につながるからです」
試合においても決めたテーマを徹底して守ってきた。
「入院明けに1年ぶりにリーグ戦に復帰した時、徹底して前に出て戦うことをテーマとしました。懸命に前に出ると放銃するわけですが、たとえ試合であっても、決めたテーマは徹底して守る。負けてもいいから前に出て相手をやっつけるのが私の麻雀だから、放銃しようが、かいくぐろうが、とにかく前に出る麻雀を打っていく。前に出ないで引き気味に構えて放銃しない麻雀に変わったら、選手としては魅力がなくなるので引退です。Mリーグでも団体のリーグ戦でも、進化していく必要があり、進化に年齢は関係ありませんからね」
大事にしている言葉がある。
「楽しく打って楽しく勝つ。とはいえ今から20~30年前は楽しく打つという言葉を発してはいけない時代でした。笑っていたらお前何笑ってんだとなるし、楽しく打つだなんて言ったら、未熟者が何を言ってると先輩から叱られました。昨今はプロスポーツ界でも試合を楽しみますと言う選手は増えてきたと思いますが、麻雀の世界では私が広めてきた自負はあります。勝つのはなかなか難しいことですが、楽しく打つなら誰でも表現できるので、これからも麻雀ファンに麻雀は面白いものなんだなと感じてもらえるよう、楽しく打って楽しく勝っていきたいですね」
☆さわざき・まこと 1955年1月13日、群馬県安中市生まれ。B型。日本プロ麻雀連盟。主な獲得タイトルは第2期新人王、第13期十段位、第16、27期麻雀マスターズ、麻雀最強戦2013、麻雀日本シリーズ2017、2019、第14回モンド名人戦優勝、第16回モンド王座優勝他。MリーグではKADOKAWAサクラナイツに2019―20シーズンから3年間所属。異名は「マムシの沢崎」。著書は「沢崎誠の強すぎる麻雀経験論」(マイナビ出版)。役満は全種類制覇済み。













