【レジェンド雀士からの金言】麻雀ブームの今こそ、その礎を築いた男たちの声を聞け――。レジェンドが自らの麻雀人生や勝負哲学、後輩への思いを語り尽くす連載が帰ってきた! 今回は「顔がリーチ!」と言われるほど、闘志むき出しの豪胆な打ちっぷりで最高位を4度獲得するなど、多くの麻雀ファンを魅了してきた最高位戦日本プロ麻雀協会元副代表・金子正輝(69)編をお届けする。麻雀との出会い、ライバル、師、そして“顔芸”の真相を聞いた。
金子が生まれ育った新潟県長岡市は豪雪地帯である。「冬場は町全体が4か月ほど雪に埋まっているような感じでした。幼少期から道の両側に雪がうずたかく積もっている中を通学していたので、我慢強くなった気がします。麻雀も我慢強い方が有利ですからね」
牌に初めて触れたのは小学5年生の時だった。「麻雀を覚えた父親が、家族みんなでやってみようと母親と弟と一緒にやったのが最初でした。夢中になったのは高校生の頃、友達の家で毎日のようにやってましたね」
高校1年生だった1972年、麻雀専門誌「近代麻雀」が竹書房から創刊され、76年には近代麻雀主催のタイトル戦「最高位戦」が創設された。「愛読書は近代麻雀でした。第1期最高位戦には灘麻太郎さん、小島武夫さん、古川凱章さん、阿佐田哲也さんらそうそうたるメンバーが出ていて、いつかはそういうところで打ってみたいと憧れを抱いてましたね」
大学進学を機に上京後、終生のライバルと出会う。「大学紛争で休講続き。日々通うようになった麻雀店でマネジャーをしていたのが7歳上の飯田正人さんだったんです。飯田さんは麻雀に集中するために勤めていた商社を辞めた時期でした。最初はまったく歯が立たないほど強かったですね」
その後、飯田が独立してオープンした麻雀店で金子はスタッフとして働き始めた。「最高位戦出場者の公募を知り、プロになるのが夢だから試験を受けると飯田さんに言ったら『かねちゃんじゃ無理だからやめときな』と言われたんです。でも次に会った時『俺も試験受けることにしたよ』と言ってきたんで一緒に試験を受けて2人とも合格しました」と24歳の時に念願のプロデビュー。大学の同級生で18歳の時から付き合っていた奥さんに背中を押され、留年続きだった大学も卒業した。「これからは麻雀プロという肩書で大好きな麻雀とずっと一緒。自分の好きなことを仕事にできたことは幸せで本当にうれしかったですね」
プロ入りした81年は、日本プロ麻雀連盟が創設された年だった。「最高位戦では若手を育てていこうというタイミングだったらしく、近代麻雀で特集してもらったり、最高位決定戦の観戦記を執筆したり、GOROというグラビア雑誌にも出たり、なんでも夢中でやっていました」
師と仰いだのは、麻雀新撰組の立ち上げメンバーで競技麻雀のパイオニアでもある古川凱章(享年77)だった。「古川さんの麻雀に対する真摯な姿には感銘を受けていました。主宰されていた年間リーグ戦『順位戦101』にも飯田さんと一緒に参戦していたんですが、打ち方よりも所作の面で厳しく鍛えていただきました」
プロ入り4年目、27歳の時に最高位を獲得。
「飯田さんより先に最高位を取り、順位戦101でもぶっちぎりの成績だったんで『なんでかねちゃんばっかり勝つんだよ』と私の麻雀を飯田さんが後ろで観戦していた時期もありました。でも飯田さんはプロ入り9年目に最高位を取ってからは破竹の勢いで、最終的には最高位を10回獲得。第1回モンド名人戦でも大逆転優勝を決められるなど、常に悔しい感情を抱かせてもらいましたね」
ライバルであり盟友でもあった飯田は大腸がんのため63歳で他界した。「闘病されていた時に見舞いに行ったら『もっとかねちゃんと麻雀が打ちたかったな』と言われたんですよね」と目を細めた。
金子の鬼気迫る表情やリアクションを楽しみにしているファンも多い。「顔芸なんて言われますが、本当に無意識なんでどんな顔をしているのかは自分では分からないんです。顔に出しちゃダメだとは思うんだけど、何をやっても顔に出てしまう。対局中にティッシュを食べていると指摘されたこともあり、もちろん食べているわけではなく、痰を取っていただけ。ただそれをいちいち説明するのもなんなんで、視聴者が喜んでくれるなら、それはそれでいいかなという感じでしたね(笑い)」
※後編に続く
画像提供=MONDO TV((C)2025 Warner Bros.Discovery,Inc.or its subsidiaries and affiliates.All rights reserved.)。モンド麻雀プロリーグ25/26 第9回モンド杯チャレンジマッチは8月12日(火)放送開始。
☆かねこ・まさてる 1956年1月17日、新潟県長岡市生まれ。東洋大学卒。最高位戦日本プロ麻雀協会元副代表。101競技連盟元理事代表。78年、最高位戦Bリーグでプロデビュー。主な獲得タイトルは第9、11、12、24期最高位、第21、22、23期名人位、第10期八翔位、第10期名翔位、第1回MONDO21電影大王位決定戦、第12回モンド名人戦、第14、15回モンド王座他多数。埼玉県坂戸市で麻雀店「KO(ノックアウト)」を夫婦で経営。














