明るい陽光が差して心躍る5月。同時に「五月病」になったり、梅雨の時期を控えて気がめいったりするかもしれない。そんな季節に背中を押してくれるような「5月に元気が出る本5冊」を、都内でも有数の大手書店・芳林堂書店高田馬場店に推薦してもらった。これを読めばきっと気持ちも軽くなる――。(協力・芳林堂書店高田馬場店)
「仕事のためには生きてない」(安藤祐介著 KADOKAWA)
書名のように生きる時代になったと思います。ワークライフバランスを重視し、充実した人生を誰もが送るべきだと。主人公、多治見勇吉は35歳。本懐である「ロックに生きる」ためにバンド活動に支障のない仕事を選んだが、意味のない仕事にどう取り組んでいくか、異動先で次第に病んでいく。現実には分かりやすい敵や、素晴らしい仲間がいない人の方が多いと思います。この小説には爽快なエンディングが待っている。どん底から抜け出すための光は、この小説が具体的に提示してくれます。
「我が友、スミス」(石田夏穂著 集英社文庫)
身長157センチ以下、恋人なし、昨年始めたジム通いが日課――そんな特別じゃない女性が筋トレを通して「別の生き物になる」べく心と筋肉を燃やす物語です。
トレーナーの誘いでボディービル大会出場を目指すことになった会社員のU野さん。みんなのためにも結果を出したいと思いながらも日々変わっていく体に「彼氏ができたか」と奇異の目を向けてくる社会に対して「もっとストイックであれ!」「目指すべき肉体があるだろ!」と語る心意気が勇ましい。トレーニング描写を読むたび、どんな器具かと指が動き、どんな姿勢かと体が動き、これほど鍛えたら一体どんな気持ちになるのかと心が動く。読後に思わず体を動かしたくなる作品です。
「バッタを倒しにアフリカへ」(前野ウルド浩太郎著 光文社新書)
ファーブルに憧れて昆虫博士になったものの、研究機関に就職できなければ、無収入。学会で認められる論文を発表しなければ、キャリアはそこで終わる。
そんな彼が選んだのは、研究対象のバッタが大発生し、大飢饉を引き起こすほど猛威をふるう、アフリカはモーリタニアでのフィールド・ワークだった。
日本人が単身飛び込んだ現地の研究所では仲間や理解のある所長に恵まれながらも、泥くさい大人の事情にもまれ、さらにはなぜかバッタの大群も見当たらないという苦境に陥る。
普通ならばここでへこたれそうなものだが、持ち前の粘り強さと信念、そして何より常人離れしたユーモアで前進し、栄光を勝ち取る姿に勇気と元気をもらえること間違いなし!の一冊。
「水車小屋のネネ」(津村記久子著 毎日新聞出版)
2024年本屋大賞第2位でもある本作品は生きていくうえで、とても勇気をもらえる物語となっています。
18歳と8歳の姉妹、理佐と律が、けなげに2人で生きる姿、田舎町で出会ったヨウム(大型インコ)であるネネのかわいらしさに魅了されることと思います。
そのネネに見守られながら、姉妹は周りの人々の優しさに助けられ成長していきます。姉妹だけでなく、周囲の人々の一生懸命生きていく姿は涙を誘い、ときに癒やしをもらえます。気がつくとあっという間に40年たっていた、その軌跡を描く物語です。
「あかるい花束」(岡本真帆著 ナナロク社)
「いいこと1個もねーな」と1人で声を出してしまうことがある、とおなじみのラジオパーソナリティーが言っていました。新年度のドタバタが少しだけ落ち着くと、しんどい面が顔を出し、新しい空気がまたよどみ始めます。
そんな時に歌集「あかるい花束」が書棚に並びました。詩歌の棚に蛍光ピンクの表紙。光って輝いていました。泡のように消えてしまう日常の、ほんわかとした安らぎをとらえている感じが優しくて、癒やされます。
「泳ぐとき、歌うときする短くてたしかな息継ぎに祝福を」(本書から)
ぜひ、短歌を読んで元気を出すという新しい試みをやってみてください。

















