〝脱・激闘〟で立ち上がれ――。ボクシングのトリプル世界戦(横浜BUNTAI)が30日に行われ、WBA・WBC世界フライ級統一王者の寺地拳四朗(33=BMB)が防衛戦で、WBA同級3位、WBC同級2位のリカルド・サンドバル(26=米国)に1―2の判定で敗れ王座陥落した。日本ボクシング界きっての論客で、公式ユーチューブチャンネル「前向き教室」も好評の元日本スーパーライト級王者・細川バレンタイン氏(44)は高難度の復活プランを提案した。

 拳四朗は左ジャブを突いて圧力をかけ、5回に右ストレートでダウンを奪ったものの、タイミングよくコンパクトに繰り出す相手のパンチを多数被弾し、押し切られてしまった。今後については「悔しいのはありますけど、今は何も考えられない」と話すにとどめた。

 所属ジムの会長で父の永氏は、12月のサウジアラビア政府直轄イベント「リヤド・シーズン」の興行参戦、WBC・WBOスーパーフライ級統一王者ジェシー・ロドリゲス(米国)戦などのプランが白紙になったと明言。拳四朗を半年ほど休養させる考えを示した。

サンドバルと激しく打ち合う寺地拳四朗
サンドバルと激しく打ち合う寺地拳四朗

 安定王者は、なぜつまずいたのか。細川氏は「左ジャブなどのリードパンチは拳四朗が良かった。リードで勝っているとビッグパンチも当たるし、あまりカウンターももらわない。なのにダメージパンチをもらっていた」と指摘した。

 さらに「拳四朗はパンチにケアレス(不注意)になっていた、相手のカウンターが鋭かった、のどちらか。でも、あのレベルのカウンターを打つ選手は他にもいる。やっぱり〝激闘型〟になってしまったためにケアレスになったと思う」と敗因を分析。「以前は左の〝切っ先〟を当てて、ビッグパンチは打たなかった。今は激闘に夢中になっている。ボクシングは打って打たせないスポーツ。今日は打ったけど打たれた」と付け加えた。

 復活するには何が必要なのか。「すごく難しい」と強調しながら、こう続ける。「昔のスタイルだったら今日は勝ったかもしれない。でも、今の採点基準はダメージングブローにつながらないとポイントにならない。なのでスコアリングできるようなパンチを打つ必要はある」と以前のスタイルを再考しつつも、採点基準の変化も考慮すると、単純にそれだけでは難しいとみる。「無双していたころのスタイルと今の激闘型の〝融合〟。良いところだけを取る。そういうスタイルしかないと思う」と提案した。

 では、復活の舞台はどうなるか。戦前はスーパーフライ級へ転級するプランもあったが「フライ級でも、それができなかったら難しい。バム(ロドリゲス)なんか、超パンチあるからね」と厳しい見方を示した。

 ボクシング界きっての人気者は、どのように再起を果たすのか注目だ。

☆ほそかわ・ばれんたいん 1981年4月16日、宮崎県宮崎市出身。ボクシングの第40代日本スーパーライト級王者。14歳からナイジェリアで高等教育を受けたのち、英ケンブリッジ大学医学部合格も経済的な理由で入学を断念。帰国後は大手外資金融会社に勤務しながらプロボクシングで日本王者となり、2021年7月に40歳で引退した。戦績は37戦25勝9敗3分け12KO。現在は不動産賃貸経営事業や宿泊事業、ボクシング解説のほか自身の公式ユーチューブチャンネル「前向きチャンネル」(https://www.youtube.com/channel/UCRKutOrnx5S0tTxUR_wNYqA)で積極的に発信も行っている。身長163センチ。