仕事が終わって飲む一杯は、たまらなくうまい。特にその仕事が厄介であればあるほど、余計にうまいと思う。実はこの状態、ストレスが飲酒欲求を高めている可能性があるのだ。
人間はストレスを感じると、脳内で「ご褒美スイッチ」がオンになる。体は「もう限界」なのに、悪魔のごとく脳はこうささやく。「一杯いっとく?」と。この声の正体は、ストレスによって分泌されるコルチゾールと、快楽物質ドーパミンによるもの。これら2つの物質の連携プレイによって、「飲んだら気持ちよくなるよ~」という甘い誘いが脳から発信されるのだ。お年頃の男性は責任も重く、孤独も増える世代。つい脳の誘いに乗ってしまい、飲んでしまう。
ストレスで頭がパツパツになっているところに、脳にとって最高の快楽物質であるアルコールを流し込めば、その場はもうパラダイス。だが、この快楽は一時的なもの。ストレス解消の手段として酒を使い続けることで、脳の構造そのものが変化し、「飲まないと落ち着かない」という回路を強化していく。
さらにやっかいなのが、男性ホルモン・テストステロンの減少だ。テストステロンが減少すると幸福ホルモンのセロトニンや、快楽ホルモンのドーパミンの分泌も鈍くなり、イライラ、不安、やる気のなさがジワジワやってくる。そこに酒が入ると一時的にドーパミンがブワッと出て、一瞬だけ気分が上向く。この「ご褒美回路」がクセになり、「うまいから飲む」ではなく「しんどいから飲む」ようになってしまう。これが続くとアルコール依存症へ陥りやすくなる。
それを回避する方法は「最初の一杯に命をかける」こと。高くてうまい酒を、いいグラスで、時間をかけて味わって飲む。そうすれば、2杯目以降の惰性飲みにブレーキがかかる。実際、私も少し高めのワインや日本酒を買って飲むようにしたら「うまいから飲む」に変わった。
ストレスによる「逃げの酒」ではなく、「味わう酒」へ。それが心身の健康を守る最良の飲み方だ。












