「乗り鉄」「撮り鉄」など、鉄道ファンにはさまざまなジャンルがありますが、中には駅の記念スタンプを押印して集める「押し鉄」もいます。

 記念スタンプはJR・私鉄問わず、あちこちに設置されていますが、中には押すまでの難易度が非常に高い“幻のスタンプ”と呼ばれるものもあるんです。例えば臨時駅のため、年に数回の営業日にしか押せないものや、無人駅のため近所で管理しているお店に行かなければならないものもあります。

 正直、同じ鉄ヲタの私から見ても、「地味なジャンルだな…」と感じていました(笑い)。ですが、押し鉄は口を揃えて「押した瞬間の喜びはハンパない!」と言います。そんな気持ちを私も体験したくなり、実際に行ってきました!

 行き先は、東京都内を走るJR青梅線の二俣尾駅です。都内といっても自然豊かな場所で、登山やラフティングもできるため、“アドベンチャーライン”という愛称もついています。

 この駅は委託駅のため、駅員さんがいるのは午後1時~3時(夏季は4時)だけ。1日に2時間しかスタンプを押すことができないことから、押し鉄にとって難易度が高い駅と言えます。

 時間を狙って訪ねて駅員さんに申し出ると、スタンプを出してくれました。まるで合言葉を伝えると出てくるアイテムのようで、ちょっとした特別感が漂います。駅員さんはとても気さくな方で、いろいろなお話を聞かせてくれました。

「女性1人とは珍しいね。1か月に2~3人の鉄道ファンが押しにくるよ。中には歯ブラシを持参して、ゴム印のほこりを払ってから押す本格派もいて感心する。1人で50枚くらい押す人もいるけど、あれ、どうするんだろね?」などと、押し鉄の面白い生態を教えてくれました。

 ここで木村ポイント! スタンプには、駅近くにある吉川英治記念館と、土木遺産に認定された奥多摩橋が描かれていました。駅スタンプは、小さな円に収まって観光しているようです。

 すると駅員さんは「じゃあ、そろそろ駅を閉めるね」と、窓口にシャッターを下ろしました。それを見た私は、「もう今日はスタンプを押すことはできないんだ」などと、何かに勝利したような感情が湧いてきました。なるほど! これが押し鉄の喜びってやつですね。ハマりそうな予感です。

 それでは幻をゲットしに二俣尾駅へ、出発進行~!

 ☆きむら・ゆうこ 1982年8月17日生まれ。愛知県出身。鉄道をこよなく愛する鉄旅タレント。2015年にはJR、私鉄、地下鉄、ケーブルカー、モノレールなど、日本全国にある鉄道を全線乗車する「日本国内鉄道全線完乗」を達成。乗車した走行距離は約2万8000キロメートル。