新たな一歩を踏み出した。大相撲の秀ノ山部屋が20日、東京・墨田区東向島で部屋開きを行った。師匠で元大関琴奨菊の秀ノ山親方(41=本紙評論家)による連載「がぶりトーク」では、今回の節目の行事を機に改めて所信表明。昨年10月の部屋開設からの半年間を振り返り、伝統と革新を融合させた〝秀ノ山流指導〟や地域交流の取り組みなどについて紹介する。
【秀ノ山親方・がぶりトーク】読者のみなさん、こんにちは! 昨年10月の部屋開設から6か月がたち、おかげさまで無事に部屋開きの日を迎えることができました。自分にとっても、部屋にとっても大きな節目。ここから一歩ずつ、部屋の歴史を刻んでいきたいですね。この半年間を振り返ると本当にあっという間で、一日一日が一瞬で過ぎていくような感覚でした。
親方の仕事には大きなやりがいがあると同時に、教えることの難しさを感じています。今も試行錯誤を繰り返しながら、より良い方法を模索中です。力士は10代の子ばかりで番付も序二段、ようやく三段目が出たところ。稽古は四股やすり足などの基礎と、ケガをしないための体づくりが中心です。ただ、勝負に臨む姿勢や「心」の部分に関しては、今のうちから厳しく教えている。甘さがあれば叱ることもありますよ。どんな競技でも、最後は気持ちが勝負を分ける。そこは口酸っぱく伝えていくつもりです。
日々の指導では、稽古場に設置してある大型モニターも活用しています。ユーチューブなどで公開されているトレーニング動画で、私が「参考になるな」と思ったものは弟子たちとその場で共有する。力を入れるタイミングを教えるために、野球のバッティング動画を見せたこともあります。同じことを教えるにしても、いろんな角度から伝えた方が気づきやすい。力士たちには、たくさんヒントを与えていきたいですね。
部屋には各分野の専門家にも来ていただいています。トレーナーによる指導のほか、ラグビーのコーチに体の使い方を学んだり。栄養士さんには月に1、2回ほどちゃんこの献立の相談や、力士に健康診断の数値をもとにアドバイスをしてもらっています。歯科医師の先生を講師に招き、かみ合わせの大切さなどについて教えていただいたこともありました。
稽古以外の時間も、できる限り弟子たちと同じ時間を過ごすようにしています。朝稽古後のちゃんこはもちろん、夕食も一緒に同じものを食べる。外食する時も、みんなで出かけます。その方が弟子の気持ちや何を考えているのかが分かるし、ちょっとした体調の変化にも気付くことができる。若い子が多いし、社会人としても育てなければいけませんから。本当に、親代わりをしている感じですね(笑い)。
それから、部屋としては地域とのつながりも大切にしていきたい。やはり、近所の方々の応援や支えがあってこその相撲部屋だと思うので。昨年末と2月には餅つきで交流を深め、5月にもイベントを企画しています。実際にやってみて良かったのは、触れ合いを通じて弟子たちに「力士として頑張らないといけない」という自覚が芽生えたこと。これからも、地域と共に成長していければと思っています。
私と年代が近い親方の部屋では関取や役力士、優勝者を出したところもある。自分も5年後、10年後を見据えながら、少しでも早く追いつけるように。この秀ノ山部屋から幕内や三役、ゆくゆくは番付の頂点に立つ力士を育てたいですね。それではまた!
(随時掲載)












